77:その頃、ガララージュレ王国1

ガララージュレ王国の聖職官長執務室。
きっちりと種類を分けて重ねられた書類の山に埋もれるようにして、疲労で痛む目をこすりながらペンを走らせ、男性が机に向かっていた。
長い紫髪を三つ編みにしている彼の名前はモレック・ブラッドフォード。
役職に就任してからまだ日が浅い、新人聖職官長である。

ガララージュレ王国に来たばかりのモレックがさっそく聖職官長になれたのは、珍しい”破戒僧(はかいそう)”という職業が王国に必要とされたため。
ぽっと出の者がいきなり官長に抜擢(ばってき)されるなど、周囲から妬みの目を向けられそうなものだが、ワガママ新米女王様シェラトニカに大量の仕事を押し付けられ、更に、あのイヴァン・コルダニヤの世話役までこなさなれけばいけない最悪の立場を羨む者は誰一人としておらず、そっと生暖かく見守られていた。
もちろん同僚たちには避けられまくっている。

せいせいします、一人の方が仕事がはかどりますから、との彼の発言は強がりだろうか。
しかし、普段避けられながらも、王宮でトラブルがあった際には真っ先にモレックに連絡がくる。
非常時にばかり都合よくすり寄ってくるな!と言いたいところだが、トラブルといえば大抵イヴァンがセットなのでどうしようもない。しんどい。
どうして奴を身内に引き入れてしまったのだろうか……あの日の自分を殴り倒してやりたい、と毎日20回は考える。

いつの間にか顰めっ面になっていたことに、ふと気付く。
いけないいけない、とぐりぐり眉間の間を強く揉む。
ここに縁起の悪い苦労皺を作りたくないのだ。
ただでさえチラホラ白髪が出てきたというのに、これ以上老け込んでなるものか。せっかく若返ったのだから。

その後、無心無言でペンを走らせ続け、ようやく書類の一山が消えた。
ホッと息を吐いて、うーーん!と腕を上げ、凝り固まった身体を伸ばす。

「…………どうして私はまだこの王宮にいるんでしょう」

虚ろな目で一言。
ぼんやり思考し、シェラトニカの采配がそこはかとなく絶妙なのだ、と思い至った。
それに、自分のひねくれた性根も原因だろう。

(シェラトニカ様は私に理不尽な減給を言い渡したけれど、宝物庫の魔道具は約束通りにお与えになった。
権力で無理やり部下をおさえつけながらも、心が離れていかないギリギリの所でほんの少しだけ飴を与える、さじ加減がとても上手……ということか)

そこまで考えて、魔道具の羽ペンをくるくると手の内で回す。

”心を解き放つツバサ”という大仰(おおぎょう)な名前がつけられた羽ペンは、その名が表すとおり、ペンを持った者が念じた言葉を自動的に書いてくれるという優れもの。
死霊術師(ネクロマンサー)を探し出した報酬としてモレックが手に入れた、宝物庫の高級魔道具である。
現在のモレックの仕事内容にぴったり!しんどい。
装飾がとても美しくて好みだったので、咄嗟に手に持ってしまったのだが、あの時のシェラトニカの勝ち誇った顔を見てしまった今では激しく後悔している。
心が荒んでいるので、これを選んだからこそ莫大な量の仕事が回されているのではないか、と邪推すらしてしまう。

ペン回しの要領でくるりくるりと羽ペンを回すと、埋め込まれている小さな宝石がキラキラと卓上照明の光を反射した。
濃い茶色の机の上に、カラフルな七色の光が散らばる。
この光景が好きなので、モレックは仕事終わりにはペン回しをする癖がついていた。ほんのささやかな自分へのご褒美である。
王宮で働く者のモレックの評価へはずばり”不憫”。もちろん称号もバッチリ取得してしまっている。

(……政治記録を見た限りだと、シェラトニカ様は前国王とそっくりな政治をしいている。
ただそのまま政策を引き継いでいるだけと考えるのが妥当ですが、親の背を見て、人心掌握のさじ加減を学習していたのでしょうねぇ。
シェラトニカ様は優秀な黒魔法の使い手ですし、いざとなれば部下の精神を操ることもできるのは、さらなる強みだ。
……国民が暴動を起こさないよう、子が飢え死なない程度の作物のみを農村に残し、それ以外は全て取り上げる政策。
実に理にかなっていて、下衆(ゲス)ですねー。
親にしてみれば、守るべき子供がいるからこそ、命をかけるほどの無茶はできない。食料の余剰分を取り上げられているから、反乱を起こすための体力がない。
毎日、農作業をして、その日を生きるためで精一杯。
貴族の裕福な生活を見せると余計な嫉妬心を抱かせてしまう恐れがあるため、前国王は、身分による居住区域隔離政策にかなり力を入れていた。
ひたすら働いてつつましく暮らす生活こそが普通なのだと、平民にすり込んだ……。
このおぞましい方法を思い付くのも、実行するのも、一つの才能だ。
前国王は欲深く愚かな面がありながらも、悪知恵はよく働いたようです。
ただ、贅沢三昧させていた己の娘の癇癪によって亡き者にされるとは、夢にも思わなかったでしょうね)

たくさんの贅沢品(オモチャ)を与えておけば、娘は大人しく言うことを聞く、と前国王と王妃は考えていたのだろう。
ルーカより格段に扱いが良かったものの、シェラトニカも義兄と同様に、親に愛されてなどいなかった。

親の愛情を望んだ結末がこの悲惨な現状か……と思考したモレックの口元が、いやらしく歪む。

幼いシェラトニカは、両親の気をひくため綺麗になろうと思ったのではないか。
父親の政策、母親の口調をマネるクセが付いているのは、その影響ではないか。
この仮説には説得力がありますね、とご機嫌になるモレック。

綺麗な姿をただ褒めてもらいたかったはずの少女は、思い通りにならない両親を自らの手で殺したうえ、現在は美貌への望みに執着し、若くして生きる屍となっているなんて。
なんて不幸なんだろう!
暗い笑いが止まらない。

おっさんの脳内で晒し者になっていると分かったら、シェラトニカは身体の血が沸騰するほど激怒するだろう。
死体ゆえ、もう血も通っていないが。
おーこわいこわい、悟られないよう気をつけなくては、とぶるりと身震いして、おっさんはよっこらせと椅子から立ち上がる。

窓のカーテンを少し開けると、太陽はもう真上に登っていた。
早朝から集中して作業していたため、時間経過に気付かなかったようだ。
「げぇ」と小さく声を漏らす。
片目にあたたかい陽光が降り注いだため、眩しそうに目を細めて、窓枠の隅に置いてあった点眼液を手に取り、ひとしずく黄色の瞳にそそいだ。
ほんのり潤んだ視界で青空を見上げる。

「今日は穏やかな日になるといいなぁ」

どだい無理な話である。

バタバタバタ!と騒がしい足音が、さっそく扉の向こうから近づいてきた。
乾いた笑いを顔にはりつけながら、モレックは緩慢に首を動かして、執務室の扉を見つめる。
ゴンゴンゴン、バタン!と荒っぽく扉が開けられた。

「し、失礼します……聖職官長さまぁーーっ!
今すぐ魔法研究室にお越しください、イヴァンが、イヴァン・コルダニヤがーー!」

「……またですかぁ!? 毎日毎日飽きもせず、あのバカ! いったい、今度は何をやらかしたんですか」

矢継ぎ早に言葉を紡ぎつつ、飛び込んできたのは、いかにも文系といった風貌の痩せ型の男性。
モレックにとってはもはや日々の顔なじみとなりつつある、魔法研究員の下っぱ、使いっぱしりに大活躍のメルガ・リッツだ。
今日も目の下のクマがひどい。研究バカの彼はきっと昨夜も夜更かししていたのだろう。

いつも厄介な報告を携えてやってくる厄病神なのだが、モレックの貴重な苦労人仲間でもあるので、彼の話は丁寧に聞くことにしていた。
何事、と聞かれたメルガはわなわなと肩を震わせながら発言する。

「今回はですね、貴重な書類の無許可持ち出しですよーー!
抵抗した研究員の一人を結界に閉じこめて逃走したため、彼がもう今にも窒息死しそうなんです。助けてくださぁい!
イヴァンは行方知れずで結界の解除ができず……俺、あいつ嫌いです!」

「私も大ッ嫌いです!お互い苦労させられますね」

「激しく同意ですーー……! お手数おかけしますが、どうかお力をお貸しくださいませーっ」

「そんな丁寧な言い方をしてくれるのは貴方くらいです、うっ、歳をとると涙もろくなっていけませんね……。すぐまいりましょう」

「ありがとうございます、感謝いたします!」

「いいんですよ。よくないけど。悪いのはイヴァンです」

アツいやり取りを交わした後、モレックとメルガは執務室を後にする。
結界の後始末をつけたら、モレックにはイヴァンの再教育とシェラトニカのお叱りが、メルガには先輩研究員からの八つ当たりが待っている筈だ。ひどい。

かたやたくさんの不幸を目にするため、かたや倫理的に許されない外道実験を心ゆくまで楽しむため……。
二人は下衆(ゲス)な目的を胸のうちに秘めて、今日も王宮廊下をひた走る。

***

王宮の端にひっそりそびえ立つ塔の最上部の小部屋。
本がぎっしり詰め込まれた本棚がたくさん並ぶ室内は、しばらく人の出入りがなかったせいで空気が少し湿っぽい。
施錠されていた扉を破壊して中に入ったイヴァンは、ふむ、悪くないな、と一人で呟いた。

本当は王宮の屋上か屋根の上辺りで読書を楽しみたかったのだが、いつもすぐにモレックが駆けつけてくるため、今回は対策して目立たない場所を探してみた。
この部屋ならば外からは見えないし、室内にこもっていればまず発見されないだろう。ゆっくりできそうである。
読みものに困らないのもいい。

満足そうに二回頷いて、鉄格子が嵌められた窓の側に、一人掛けのソファーを引きずってきて腰掛けた。
腰掛けた拍子に、ソファーから爽やかなホワイトシトラスの残り香がふわっと漂ってくる。
気分良く、紐でまとめられた研究資料に目を通し始めた。

「興味深い。……劇薬を、ヒト族、それにそれぞれ種類の違う魔物に投与した実験結果か」

持ち出してきた資料の種類は適当である。
こだわりなく、たまたま自分の近くにあったものを拝借してきたのだが、今回は当たりだった。イヴァンの好奇心をくすぐる内容だ。

以前はシェラトニカの美容品開発資料をうっかり持ち出してきてしまい、あまりに退屈だったので捨てたら激怒されて[影縛り]で首締めをくらったという思い出がある。
なかなか気持ちよかった。
しかし、赤の女王様の与え賜(たも)うた痛みにはとうてい敵わないが。

資料の一枚目を読みつつ、ギフト【並列思考】を存分に生かして、別事を考え始める。
資料を持つ手にはうっすらと火傷の痕が残り、それを視界の端にとらえたイヴァンの心は知らず知らずのうちに高揚していた。

赤の女王様が与えた、状態異常の[運命の宣告(センテンスト)]はドラゴンが片腕を喰いちぎると共に消えてしまったが、この火傷痕が繋がりを明確に残している……気がする。火傷痕がある方の腕を喰われなくてよかった。
うむ、悪くない、と呟く声音は、イヴァンにしては驚くほど感情豊かで、モレックが聞いていたら間違いなくドン引きしていただろう。

女王様(アレ)が欲しいな、とうずうずしながらも、大人しくガララージュレ王国に籍を置くイヴァンの現在の職業は、レベル10の死霊術師(ネクロマンサー)。
まだまだ、従魔たちを出し抜いて獲物を捕まえるには力が足りないと自覚しているため、レナパーティを即座に追いかけなかった。

転職したならば、王国を出て自分でレベル上げをすればいい、とも考えられるが、重要な立場にいるイヴァンが勝手に王国から離れることは不可能。
シェラトニカと正式に結んだアンデッドケア協力契約が、旅立ちを許さない。

今よりもっと死霊術師(ネクロマンサー)のレベルが上がって、シェラトニカの定期的なボディケアが不要になったり、遠方からの干渉が可能になれば、王国から遠ざかることも聞き入れられるはずだ。
もしくは、次元魔法を今よりも効率良く使えるようになれば、遠出交渉も可能だろう。
凄腕の黒魔法使い、シェラトニカは「また手元に戻ってくる」とイヴァンに約束させることができるため、その程度の自由は与えてくれそうである。
生物の身体を薬品で痛めつけまくるド下衆(ゲス)な魔法実験資料を読みながら、イヴァンはのんびりと背もたれに体重をかける。
たまに森に狩りにでかけたり、こうして読書をして日々を過ごしながら、ゆっくりと力を蓄えていた。

資料をめくること、数十枚。
そろそろ資料が終盤にさしかかったあたりで、イヴァンはふと、残りの枚数では実例表記が足りず、論文としても結論にたどり着かないのではないか……と思い至る。
ちっ、と舌打ちした。

研究施設は数ヶ月前に、何者かがしかけた時限爆弾によって一角が焼かれたのだという。
その時に貴重な資料が数十点焼けてしまった、と聞かされていた。
今、手にしている資料の続きは、おそらくその時に消失してしまったのだろう。
足りない部分を脳内で補完するのもまた一興だが、机上の空想論ならばともかく、実例を挙げた資料が欠けているのはかなり惜しい。
せっかく面白い題材だったのに、と険しく眉根を寄せる。

機嫌が急降下したところで、さらなる不運が襲いかかった。
イヴァンに押し付けられた称号[ |悪運持ち(バッド・ラック)]はしっかり仕事を果たしている。

「光魔法[白光結界]!……見つけましたよぉ!」

イヴァンはソファーごと結界に封じ込められてしまった。
はあ、とあからさまにため息をつく。

扉を豪快に破壊したため、随分見通しが良くなった部屋の入り口の向こう側に、肩を怒らせたモレックとメルガが走ってくるのが見えた。
もう、発見されてしまったのか。予想外に早かった。

「なんだ……うっとおしい」

今日も天然煽り野郎は絶好調。

「うおおおお、ムカつくぅーー! お前が先輩を結界に閉じ込めるから、大変だったんだぞ!?」

メルガが己の茶髪をぐしゃぐしゃとかきむしる。

「ほう。その物言いだと、あの研究者は助かったのか。
いずれ資料は返ってくるのだから、大人しくそれを待っていればよかったものを、抵抗するからこうなるのだ。自業自得だな」

天然煽り野郎はちょー絶好調。

「な、ん、で、す、って?
貴方が以前、持ち出した資料を勝手に破棄したから、警戒されているんです!
研究員の警戒は妥当ですし、それ以前に、資料を見たい時には事前に申請して研究室で読めって何度言ったら分かるんですかー!
結界を壊すのに、貴重な魔道具をひとつダメにしてしまったんですからね!?
どの口が自業自得などと……もしかして自分自身に対して言った?
この、ドマゾヒスト! 人に被害を与えないところで勝手に興奮してろ!
貴方が言うべきは”ごめんなさい”でしょう」

「資料を見るときは一人で落ち着いて読みたい。
それに、事前申請しても許可が出るまで数日かかるだろう? 待ってられない。
俺は資料を読みたいと思った時に読みたいのだ。しつこく邪魔をするな」

「うおおおーーーー!」
「ぐあああーーーー!」

苦労人二人がストレスで死にそうになっている。
天然煽り野郎は絶好調極まりない! 大事なことなので強調しておく。

これが、イヴァンという爆弾が投下された、現在のガララージュレ王国の日常である。
ここに憤慨するシェラトニカがいたら完璧にいつもの絵面だ。

「失礼いたします、聖職官長モレック様、死霊術師(ネクロマンサー)イヴァン様。シェラトニカ様がお二人をお呼びでございます」

フラグは期待を裏切らなかった。
今回はシェラトニカと鉢合わせる展開ではなく、玉座の間に呼び出しらしい。

シェラトニカ専属メイド(おだて上手)がぺこりとお辞儀をして、遠方から小部屋の三名へと告げる。
厄介事に巻き込まれたくないからか、かなり距離を開けていて、これ以上近づいてくる様子はない。

うえっ!とイヴァンとモレックがあからさまに顔を歪める。
面倒くさすぎてとても無視したいのだが、青の女王様の呼び出しは最優先事項だと魔法をかけられているので逆らえない。
メルガが同情しているが、彼とて運がいい方ではない。

「……メルガァーーー! どこでサボってるんだ、ただでさえ魔法研究員は少ないんだから、さっさと戻ってきて仕事しろよ!
それに、お前が今朝から薬品に漬けっぱなしの魔物が腐ってきて、異臭を放ってる。鼻がひん曲がりそうだ! 今度は何を試してるんだ?
研究所長がかんかんに怒ってるぞ。早く謝ったほうがいい。
ということで大至急戻ってこい、駆け足!」

研究所の先輩にあたる男性が、メルガにこれまた遠方から声をかけた。
メイド以上に距離を取っていて、遠くから、叫ぶように用件を告げる。
意外と親切なように思えるが、彼とて研究所長に「謎薬品に漬かった腐った死体に触れたくないからメルガを呼んでこい!」と申し付けられただけである。

「うわわ、しまった。つい長居しちまった。はいはーーーいっ!すいませーん、ただいま戻りますー!」

「俺は言うことは言ったからな、しばらく研究所に戻らん。一人で頑張れよ。そのイカレた脳みそを実験材料にされないよう、丁重に丁重に謝るんだぞー」

みんな厄介ごとに関わりたくはないのだ。

「えええ、怖いなぁ……。一緒に戻ってくれないんですね。
せめて俺の脳みそのシワの数や収縮具合を死後に知ることができるっていうなら、気分良く材料になるのもやぶさかでは無いんだけども」

「そこに死霊術師(ネクロマンサー)がいるんじゃないのか? 死体に魂を戻して、操ってもらえばいいじゃないか」

「俺、こいつ嫌いなんです。使役されるなんて冗談じゃない」

メルガは断言して、ギロリとイヴァンを睨みつける。
今日も憎たらしいくらいイケメンで、さらに嫌いになった。

「ほう? 体躯は貧弱、実用的なスキルも乏しい、メルガ・リッツをアンデッドにして使役する価値はないな。いらない」

「この野郎、表に出やがれ!」

「貴方がイヴァンに勝負を挑んだところで瞬殺でしょうよ……。メルガ、耐えなさい」

「理不尽だああ」

「あと、イヴァンとアンデッド契約を結んでいるシェラトニカ様をけなした自覚はありますか?」

「あ。やば。……聖職官長様、何か上手い賛美文句を拝借できませんか?」

「では、巷で流行りの恋愛小説をお貸ししましょう。うんざりするくらい甘ったるいセリフがてんこ盛りです」

▽モレックは 懐から ピンク色の小冊子を取り出した!
▽メルガは なんともいえない表情をしている。

「あ、ありがとうございます……」

「その反応、傷つきますね」

お互いを下げまくる会話を終えた頃には、メイドも研究所の先輩も、さっさと姿を消していた。素早いものだ。

この後、メルガは大急ぎで研究所に戻り、イヴァンとモレックは仕方なく玉座の間へと向かった。

 

 

 

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