310:七日目のギルティアと水2

 

▽ギルティアが リビングにやってきた。

「いらっしゃい」

レナは和やかに迎える。

リビングの内装はありのままをギルティアに見せている。特別な飾りつけはしていない。
レナの服装も、お気に入りのブラウスと赤のスカートというシンプルな出で立ちで、親しみやすさを推している。
すでに従属の意思があるとクドライヤに聞いたので、威圧をする必要はないのだ。それにギルティアはまだレナパーティに慣れているとは言えないので驚かさないほうがいいだろう。
できるだけ、そう、できるだけ……。

ギルティアは、クリスティーナの背中に半分隠れて服の裾を掴んで、じとーっとレナパーティを眺めている。

(……相変わらず目に眩しい集団だな。あの空気感とか、容姿であるとか、全部。むずがゆいっ)

ギルティアはドクドク鳴る胸を押さえて、眉を顰めてみせた。

クリスティーナはといえば、レナパーティのやけに生ぬるい微笑みのことが気になっている。
が、ギルティアを容赦なく前に押し出した。

「ちょっ」
「覚悟決めなさいよ。女でしょ」

そういってしとやかに手を振るクリスティーナには、漢気という言葉はもはや似合わない。
レナたちは久しぶりに見た二人が女子として距離を縮めていることに内心冷や汗を流した。

▽まあ、今はギルティアの従属を達成しようぜ!

「ギルティア」
「……ん」

レナとギルティアが向かい合う。

先輩従魔に警戒の色はない。
それは、ギルティアがおとなしくレナに対峙しているからだ。

幼くなっているギルティアは、レナを背伸びして見上げている。仮従魔がこんなしぐさを見せてくれると、主人としてたまらないものがある。

(んっ……!)

レナはキュンとしつつ、これから与えるものについて申し訳なく思った。
▽双方、頑張ってくれ。

「これ、ウェルカムドリンク」
「!?」

▽さぁやってまいりました!!!!
▽ウェルカムドリンクの登場だぁ!!!!
▽カーーーン!

「……なんだこの金属音!?」
「ゴングの音」
「なにそれ」
「女として覚悟を決めることへのエールかな……」
「は? 受けて立つ」

ギルティアはちんまりと仁王立ちして、キッとレナを睨んだ。

このような対峙の方が性に合っている。
ギルティアはニッと口角を上げた。

元気に応戦してくれたギルティアを見て、レナはほっと息を吐いた。

(せっかくだから乗っかっておこう)

▽いい感じに進んでるよ!

レナも、くいっと口角を上げた。

「ウェルカムドリンク一気飲み勝負、いかが? 私たちが心を込めて集めた水だよ! 歓迎の気持ちに、勝てるかなー!?」
「負けは大っ嫌いだからな!」

言ってから、ギルティアはレナが持つジョッキをまじまじと覗き込んだ。

澄んだ水。
こんなものを自分に与えるのだという。
ようこそ、という気持ちを込めて。勝負などという小癪な駆け引きまで用意して。

(そんなのほんとに私のためじゃん……。お前のためとか言葉にしやがったら、そんなの自己満足だろうがって反撃できたのにさ)

イジワルをするタイミングを逃してしまったし、だからこそ今は勝ってやろうと思った。

ハラハラとこちらを見つめているジレ、アグリスタ、マイラを手招きする。

「お前たちは、こっちであたしの応援してよ!」
「……えっ!? う、うん」

アグリスタが一番に向かってきたことに、ギルティアは内心驚く。
それからジレとマイラは、見たことのない大人びた苦笑を浮かべて、ゆっくりと歩んでくることにも。

「主人よりもあたしを取るんだ?」
「? レナ様は、ボクたちがしたいようにっていつも言うし、ギルティアお姉ちゃんも従魔になるから……結局、みんな一緒じゃないのぉ?」

きょとんとアグリスタが小首をかしげる。

「ほおーぉ!?」
「う、うわっ」

わしゃわしゃとアグリスタの髪をかき乱すギルティア。
自身が小さくなったこともあるけれど、それ以上にアグリスタの身長が伸びて成長しているなと思った。

みんな変わったのだと見せつけられて、なんだか胸がいっぱいになる。髪をかき乱されたあとに見せるあの苦笑はなんだ、そんな表情ができるようになったのかと。
肩をトントンと二人に叩かれた。
ギルティアはなまいきな笑みのまま、ジレとマイラを見た。
二人は真剣な顔である。

「あのね、応援するから」
「うん。あれ飲みきったらものすごくすごい、尊敬する」
「……お前らの物言い、なに……?」
「「応援」」
「そ、そうかよ」

やけに応援されることに疑問を持ったギルティアだが、その理由である「水」を疑うことはしなかった。

むしろ、早く飲みたい!と本能が叫んでいる。

▽そういえば 種の時点でエリクサーを与えていたから。

(水から、甘い匂いがする)

樹人を魅了するにおいは、自分に合った水であるという証。

▽種の時点でエリクサーを与えていたから。
▽調教済み。
▽|運命(ぐうぜん)

レナからジョッキを受け取ろうとしたら、机に招かれてしまった。

「これ重いからね」
「あんたが持ててるんだからあたしに持てないはずないだろ!?」
「私は異世界人だから。まああとで話すよ。ほらウェルカ〜ム」
「ウェルカーム」

▽パトリシアが 食用花を浮かべてストローを刺してあげた。イエス! ウェルカム!
▽スマイル!

毒気を抜かれたギルティアが、呆れたようにレナとパトリシアを眺めた。

「……飲むから、見てやがれ」
「「うん」」

ギルティアはストローに口をつけた。

樹人は水分であれば一気に摂取することが可能だ。
喉が乾いた状態であれば、子どもといえど樽の半分を飲み干すものもいるくらい。
ジョッキくらい、わけもない。

吸い込むと、まずは柔らかな口当たり。
それから────

────しばらくの記憶はない。

一心不乱に水を飲んでいたようだ、とは、空になったジョッキから察することができた。
そして自分が机につっぷしていて、体がやけに熱いことをギルティアは自覚する。
かすむ視界の端で、クリスティーナであろう緑髪が取り押さえられている? と見た。

動こうと思ったけれど、体が動いてくれない。

「……あたしと、契約して。体、動かしたいから」
「うん。そうすれば水が体に馴染むと思うよ」
「……負けてないから」
「ギルティアの勝ちだよ」

レナの声は優しく響いた。
クラクラする。

抱えてもらいながらなんとか上体を起こして、同じく椅子に座ったレナと手を繋いだ。

「スキル[従魔契約]……あなたを私の従魔として迎えましょう。お返事は?」
「そのくらいの権利はあんたにくれてやる」

ギルティアはべっと舌を出した。

心だけは素直に、レナの魔力を受け入れて契約が締結される。

<[従魔契約]が成立しました!>
<従魔:ギルティアの存在が確認されました>
<[仮契約]は解除されました>
<ギルドカードを確認して下さい>

<職業:魔物使いのレベルが上がりました!+1>
<ギルドカードを確認して下さい>

「よし、今だ! ギルティア、私のことちょっと叩いてみない?」
「おいやめろ。なにをさせようとしてんだ。従魔どもがこっちガン見してるぞやめさせろ」
「一回でいいの!」
「理由を言え!」
「進化(レアクラスチェンジ)できるから!」

ギルティアは目を丸くした。
じりじりとこみ上げてくるのは変わることへの恐怖と、幼いゆえの好奇心、今となっては主人が側にいるゆえの絶対的な安心感が、ごちゃまぜになって困惑の種になる。

「進化、させたいのか。理由は?」
「進化できるからっていうのが理由だね〜。せっかくの機会だから進化しておきなよ、力が増すとあなたの自由が増えるはずだから」

……ギルティアはため息をつく。
なんて簡単に、自由などと言ってくれるのだろうか。

首に巻きついた首輪の軽やかなこと。

水が体に馴染んだとかいう状態のためか、クリアになった視界でクリスティーナを見ると、もう取り押さえられてはいなかった。
「ギルティアが欲しがるからって水をさらに飲ませすぎだわ!」などと文句を言っていて、どうやらそれを理由に給水を妨害していたらしい。

記憶がない間に、何かあった。
それは確実だ。
でも思い出そうとするとすさまじく嫌な予感がギルティアの体を震わせるので、いったん考えないことにした。

ぎぎぎ、と顎を上げていき、ようやく正面からレナを見る。

“主人”の顔はきらめいていて、さあ惚れろと言わんばかりである。
(従魔契約このやろう)
ギルティアはグッと唇をかみしめて、真っ赤な顔で対峙した。

「……あたし、前に、力を得た時には樹人の里が壊滅してたんだ」
「そうなんだってね。……今回は大丈夫、先に栄養源のお水をたっっっっっっっぷり飲んでもらったから」
「どんだけ飲んだのあたし……」
「プール一杯分くらいかな。いろんな種類の水を」
「ふぅん。まあリスクはあんたらが背負うっていうなら進化してやる」
「ありがとう!」
「勘違いするなよ、お前らのためじゃないんだから。もしここが壊滅したらあたしが不愉快だから気にし……た……だけ……」

墓穴である。

ギルティアは言い訳が上手くない。良い環境に恵まれたことがないため、まっすぐに心を言葉にすれば自然に皮肉や悪口になっていただけなのだ。
素直さが罠だった。
ここにいればギルティアはいじわるでいられない。
地団駄を踏み始める。

「進化! 早く!」
「はいはい。じゃあここの頬のところを、ぺしんと」
「…………おらあ!」

▽ぺちっ、とやさちい音がそよぎまちたね〜。

高レベルの者(レナ)を攻撃したことによって、ギルティアのレベルがグンと上がる。

<従魔:ギルティアのレベルが上がりました!+3>
<ギルドカードを確認して下さい>

「は!?」
「いったんレベル1に生まれ変わっていたからねぇ。さあクラスチェンジ先は……?」

<☆クラスチェンジの条件を満たしました!>

<クラスチェンジ先:世界樹(ユグドラシル)・ネオ>
<進化させるには、種族名項目をタップして下さい>

しばらく場が沈黙した。

「……いやそもそも絶滅した世界樹を掘り起こしてさらにネオにすんな!」

クリスティーナが必死に突っ込んでくれた。
▽おつかれさま。

キラが展開したウィンドウに、種族説明が現れる。

【世界樹(ユグドラシル)・ネオ】……世界のどのような水をも知る、深く根を張る樹木。みずみずしい葉は薬効が高い。ネオ種のため詳しい生態は不明。

「あ、これ、ギルドカードそのままではなく私が翻訳した種族説明で御座います。いかがでしょうか、ルーカティアスさーん」
「んー。深く根を張るっていうのは元祖世界樹の概要だから、ネオ種としてギルティアは違う生態になりそうだよ」
「その瞳に感謝で御座います!」

パチンとキラがウインクをした。
ルーカはにこりと笑ってギルティアから視線を離した。

そのコンビネーションにギルティアはゾッとしている。
わずかに震えたので、レナがこれ幸いと「おーよしよし」と堪能しておいた。

【世界樹(ユグドラシル)・ネオ】……世界のどのような水をも知る樹木。みずみずしい葉は薬効が高い。ネオ種のため詳しい生態は不明。

▽キラが 説明を書き換えた。

「まあシンプルにこれでいいでしょう」
「ほとんどネオ種のため不明なんじゃないですか……」
「スクーさん。おっしゃったことが事実ですよ、ネオ種はこれから自分自身で種族の道を開いていけるのです」

ギルティアは唇を引き結んだ。

「あたしは……。…………まあいいや、進化させて。どーやんの?」

まだ何者になればいいのかなんてわからない。でも自由はたしかに欲しかった。それでなにができるのか見当もつかないけど、あれば損ではないと主人が優しい心で言うから。

「ギルドカードの項目をタップするんだよ」

レナがギルドカードを見せてやる。

ギルティアは、ずらりと並んだ従魔の数に(ふーん)と呆れてから、その他の称号やらスキルやらギフトやら全部が異常なので言葉を失くした。

……それから、|自分の名前(ギルティア)とステータスが並んでいるところを、指で撫でるように触れる。

(覚悟を決めた雌は、強いはずなんだから)

ギルティアの指が踊るようにタップした。

<種族:|砂漠の魂喰い花(デザートギルティア)→ 世界樹(ユグドラシル)ネオに進化します!>
<ギルドカードを確認して下さい>
<スキル[わた胞子][アロマセラピー]を取得します>

「名前:ギルティア
種族:世界樹(ユグドラシル)ネオ、LV.4
装備:ワンピース、短パン、ルームシューズ、M服飾保存ブレスレット(黒)、※従順の首輪
適性:青魔法、緑魔法、黒魔法[空間]

※体力:10
※知力:13
※素早さ:13
※魔力:15
※運:4

スキル:[魂喰い(ソウルイーター)]、[魂移し(ソウルリリース)]、[わた胞子] 、[アロマセラピー]
ギフト:[オアシス]☆5 [ヤドリギ]☆6
称号:魔人族、精霊のトモダチ、犯罪者」

【オアシス】……水を飲める量が増える。体の大きさにかかわらず、異空間に貯水が可能。水のまま放出することも、直接自分のエネルギーとすることもできる。エネルギーを他者に分け与えるには、分け与えるためのスキルが必要。

【ヤドリギ】……他の植物の種を、宿らせることができる。

取得していたスキルは一部消失するらしい。

(魔物ってこんなふうにやり直しができるもんなんだな)

このステータスになることへの承認を、ギルドカードが赤の点滅で急かす。
急かしすぎるあまり、文字がかすれている。

<この種族に進化しますか?>

キラが、ギルティアを眺めた。

「受けて立つ」

ギルティアが、ッターーン!と項目をタップした。

自分が作り変わっていくのがわかる。

体の奥底で熱が渦巻く、かと思えば凍るように寒かったり、甘ったるくかき乱されてから、海の底に突き落とされたように肌が粟立ったりする。

「ふ……うあっ……!」

もがくギルティアをレナが抱きしめた。
異世界人の腕力を少し強めに、ギルティアが自分を傷つけてしまわないように押さえる。

「ギルティアつらいよね。進化のための体の変化だよ。大丈夫……きっとあなたは勝てるから」
「当、然……っ」

ギルティアの口から本音がこぼれた。

「だってずっと勝ちたかったもん」

ずっと負けてばかりだと知っていたのだ、本当は。
だからこそ初めてが今、欲しい。

自分を確実に承認してくれる思い出が欲しい。

ギルティアの体を光が包んだ。

光に吸収されるようにギルティアの質量が一瞬いなくなると、小さく収束していく。

これにはレナも慌てた。

「ギルティア!?……ここに、いるよね」

レナの手のひらにはとても小さな質量がある。
そっと包めるくらいに進化するのは初めてのパターンだ。

光が吸収(・・)されていく。
小さな花のつぼみに入り込んで、しゅうっとつぼみを内側から膨らませた。期待したが蕾のまま沈黙している。

なにかの花が開くのはまだ先のようだ。

レナは手のひらの中の新従魔に、視線が釘付けになっている。

シルクの花を逆さまにしたようなボディに、ほわほわした綿毛のような顔がぽよんと乗っかっている。同じくほわほわの垂れ耳は腕のように動かせるらしく、自身をぽふっと触っては不思議そうにしている。くりっとしたつぶらな緑の瞳が、レナを見つめた。

「かっっっっわい……!」
『ぱぷぅ』
「え、鳴き声!? 赤ちゃん!? はわっ……」

くらり、とレナが撃ち抜かれて、そーっと右手のひらを引き抜く。
落ちそうになったギルティアはあわてて左手のひらに身を寄せて、むくりと綿毛を膨らませてレナを見た。はいはい可愛い。

レナが右の指でつつこうとする。
あの! 魅惑の! ほわほわを! いざ!

『ぷしゅう』
「ああーっ!? ごめん……!」

どうやらつつくと綿毛が乱れてしまうようだ。
しぼんでしまった。

レナが助けを求めてルーカを見る。
にこりとルーカ先生が微笑んだ。

「ギルティアはまだ触られる心の準備ができていなくて、しぼんでしまった。物理攻撃が理由じゃない、照れているだけ。そして照れているのに無理に触ろうとすると花弁までしぼんでしまう、今日はここまで」
「そ、そんな……こんな可愛い従魔をモフれないなんて……!?」
「レナはまだいい方だと思うけどな」

ルーカが近くにやってきて、ギルティアの後ろに向かって指を差し出す。

すると花弁がくるりと全身を覆うように丸くなり、綿毛が完全にガードされてしまった。明らかに防御姿勢だ。

「えええ!?」
「好感度が低いやつが触ろうとするとこうなる。さらに近づかれると……」
『[|魂喰い(ソウルイーター)]』

ギルティアの頭の後ろの一番大きな蕾が開き、|刺刺(トゲトゲ)のある花弁が大口のようにうごめく。中心の穴に向かって、ルーカのエネルギーが吸い取られていく。

「ね?」
「ね、じゃないんですよ! 実践じゃなくて言葉でいいから! んもー!」

湖から帰ってきてからかまってちゃんになっちゃって! とレナがグリグリ頭を撫でてルーカの相手をする。

ギルティアはといえば気分が悪そうにしているので、とんだ先輩に接触してしまったものだ。
生まれ変わってからというもの、吸い込むエネルギーはポジティブなものであるほどギルティアの力となり、ネガティブなエネルギーであれば体調を崩してしまう。

「ほーらギルティア、ご主人様の英気を吸ってもいいんだよ!」
『……』
「ほら! ほら!」
『ふぷぷぅ』

ギルティアはふらふらと風にそよぐように浮かび上がり、レナの頬にぽふんとタッチした。

▽レナの心臓が ギュンと高鳴った。

「あ、ちょっと疲れを自覚するかも」
『しゃーーーっ!』
「ギルティアは元気になったみたいだね」
「元気になりすぎてない!? 私ってそんなにポジティブなの……?」

レナが従魔たちを眺めてみると、微笑まれてしまったので、そういうことなのだろう。

▽光:闇=9:1 くらいかな。

ぽふぽふと浮かぶギルティア。
レナが手のひらを差し伸べると、着地してから、くるりと回った。

アロマのようないい香りがする。

「これからよろしくね、ギルティア」
『ぱぷぅ』
「……魔物の状態だと、まだ上手く話せないのかな? 生まれたての頃のミディみたいな感じ?」
「ナノヨー!」

ウズウズと見ていたミディが、ぴょーいっと飛び出してきた。
ポジティブエネルギーを吸われる心配があるので、レグルスが「まだ大人しくしておこう」と押さえてあげた。

みんなギルティアに興味はあるが、レナでさえまだ自分からは触れず、警戒されているルーカに至ってはあのザマなので、勧んで手出しはしないようだ。

▽無事に従属したのであれば よし!

レナがギルティアを手のひらに乗せて、こめかみを押さえているクリスティーナのところに行った。

「おかげさまで、可愛い姿になってくれましたよ」
「……ええ。いろんなことが起こるもんですわね〜この赤の聖地では」

(人型を保っていた魔人族が、魔物に戻されてしまうなんて!)

……覚悟を決めなさい女でしょ、と自分になけなしの鼓舞をする。報告書どうしよう。なんとかしよう。
苦笑を浮かべた。

すると目をまん丸にしてクリスティーナを見つめていたギルティアがしょんぼりとしてしまったので、あわててニッコリと微笑みなおした。

「クリスティーナさん、そんな限定せずに、ラナシュ世界では〜って言ってくださいよぅ。平均、平均」
「どこが平均でいらっしゃるの」
「言葉遣い乱れていますよ、あと声のドスが」
「感激のあまりね」

クリスティーナがギルティアをつつくと、ぽわわっと綿毛が膨らんだ。
レナの頬も膨らんだ。

「よかったねギルティア。その姿、きっと樹人の中で一番可愛いわ」
『!』
「私が樹人として、あなたの誕生を祝いましょう。それから他の種族にも歓迎されていることを知って。絶対忘れないで、糧にして。それはあなたが生きていくための根になるんだから」
『……み、ず』
「そうそう、とんでもない水を贈られたのよ。本ッ当にね」
『ぱぷぅ』
「戻っちゃったわね。赤ちゃんのふりして甘えたいらしいわ、はいどうぞ」

クリスティーナがツンと指先でつついてギルティアを飛ばすと、あわてながらレナが受け止めた。

「もう、私が受け止めきれなかったらどうするんですか」
「できるでしょう。ご主人様?」
「うわ……笑顔の威圧……はい、ご主人様、頑張りますよ。ギルティアに適切な仕事を探しつつ、この子をたくさん可愛がることにしますから」

レナの手のひらの中で、ウトウトとギルティアが眠りかけている。
綿毛の顔の中に、目が埋もれてしまって、まるで新種の種のようだ。

「よろしくね」

▽世界樹(ユグドラシル)ネオ ギルティアが仲間になった!

▽キラサポートにより 進化前の ステータス確認が可能になった!

▽ジレ マイラ アグリスタも 進化に興味を持ったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

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