192:参上!レナレンジャー!

さあ刮目せよ夢組織、これが! 噂の! レナパーティだーーッッ!!

「赤の祝福戦隊、レナレンジャー!」

お屋敷の各部屋で、主従がポーズを決める!
カラーチェンジの宝石が光り、衣装が鮮やかな赤色に染まった。
ド派手にいくぜ!!!!

「燃盛る炎、獄炎のクレハ事、従魔レッド!」

「吹き荒ぶ氷雪、獄寒のイズミ事、従魔レッド!」

「惑わす幻影、幻惑のリリー事、従魔レッド!」

「夢の守り手ー、ドMのハマル事ー、従魔レッド〜!」

レナを守るように四人編成のスペシャルポーズ!
レナは沈黙し、口を開くタイミングを計っている。
マルクとスイは動揺姿勢のまま硬直した。

「従魔で執事、|完璧な(パーフェクト)モスラ事、従魔レッド」

背後に薔薇のオーラを背負う美形青年を羽虫でも観察するような無感動な目で眺めるイヴァン。
観客が最低でも、モスラは演出に手を抜かない。素晴らしい!

「溢れ出す主人愛、|暗躍(ストーキング)プロフェッショナル・シュシュ事、従魔レッド!」

「光の祝福を受けた幸運と悪運のスパイラル、雷猫ルーカ事、従…………いった!?」

▽ルーカのブーツに小石が入りこんだ。
▽ラズトルファたちは 奇妙なものを見る目で 乱入者を眺めている。

「白炎に試されし青の獣、静攻のオズワルド事、従魔レッド」

「白炎に試されし赤の獣、猛攻のレグルス事、従魔レッド」

オズワルドとレグルスは目を爛々と光らせて、髪の毛先を白く染めあげていた。

「炎……! 大した自己紹介だね……」

鏡蜘蛛のイラが(相性最悪、か……)と奥歯を噛み締めた。
(でも手の内をわざわざいってくれるなんて、好都合。補助のみんなと一緒に頑張ろう。この熱気、炎使いなのは間違いなさそうだ)

「プルプル食感♡ 食用魔物ミディアム・レア事、従魔レッドナノヨー!」

▽イラは 激しく困惑している。

「咲き誇る草花、百花繚乱のパトリシア事、お友達レッド!」

「氷に映るまばゆい美貌、魅惑のキサ事、従魔レッド」

「今だけは女王様の色に染まりましょう、密やかなる雪豹事、助太刀レッド」

「……なんなんだてめーらはあああ!?」

ある部屋ではギルティアの絶叫が響いている。
真剣勝負で打ち負かしてやる! と意気込んでいたら、現れたのはとてもふざけた集団。

(雪豹の雑な赤いマントも含めて、全員赤色で目がチカチカしやがる! ムカつく! しばきたかったゴーストローズの樹人もいないしッ!)

「あたしが泣かせてやるよ」

「ほーう。植物の悩み事なら花職人にまかせな。<フラワーショップ・ネイチャー>只今出張!」

「ああああふざけやがってええええ!」

▽怒涛の戦闘開始!
▽部屋の中央に 朱色の糸玉が落ちてきた!

「……なんだと!?」

<罠として潜ませていたヤドリギの種はみーんな回収させて頂きましたー☆>

部屋を朱色の閃光が横切る!

<早朝から深夜までマスターを見守ります☆ 神眼(ノゾキ)のキラ事、従魔レッド!>

「朱き運命に導かれ、謎めく救いのサディスティック仮面、只今 参 上 致 し ま し た。そして失礼致します」

<退散が早ぁーーーい!>

▽閃光が部屋を通り抜けて行った……
▽音もなく、出口の壁が崩されている。

「……なに、今の。夢……?」
「マルク様があんな奇妙な夢を作るかよ! ナンセンスだ」
「じゃあ、あのへんてこ集団の仲間?」

子どもたちが騒ぐ。
ギルティアがスッと目を細める。

「全員、敵だ」

パトリシアは朱色の糸玉を物色している。
威圧感を放つ「邪ヲ断ツ祝福ノハサミ」でじょきじょきと蜘蛛糸を切る。
植物の種を前に、ニヤリと凶暴な笑み。

「品種改良は花職人の十八番だぜ?」

レナの脳内にキラアナウンスが流れた。

<マスターレナ! さあ、誰よりもカッコよく決めて〜!>

「よろしくてよ!」

バサアッ! と派手にマントをなびかせる!
▽キターーーーーーーーー!

「すべての赤(レッド)を束ねし覇者とはこの私の事。赤き衣を纏いて、運命さえも従えて悪を裁き尽くしましょう。
さあ、赤の女王様とお呼び!! オーーッホッホッホッホ!」

後光がカッ! と輝く。
マルクとスイは脂汗を滲ませながら、その光から目を庇った。
じわじわと肌を焼かれているように熱い……!

そして白炎の花火がドッカンドッカーーーン!!

達成感がレナパーティ全員の胸に晴れやかに広がった。

「ゆきなさい、僕(しもべ)たちよ! スキル[鼓舞]」

「「「「女王様の仰せのままにーーー!」」」」

▽戦闘開始!

***

<あーーっ全てのタイミングが最高だったから気持ちいいーーッッ! ですよね!? サディスティック仮面さぁん!>

「私はただ女王様からの仕事をこなすだけですので」

<クールビューティ!>

サディスの心のメガネがパリンと割れる、一枚目。
疾走の風で、着用しているタキシードの裾が揺れる。

<あちらに罠がありますね! ホホホホホホその程度で魔力探知性能を備えたパンドラミミックを欺こうなんておこがましい!>

「いつそのような技能を……?」

<たった今♡>

<従魔:キラがスキル[魔力探知]を取得しました>
<ギルドカードを確認して下さい>

サディスの心のメガネがパリンと割れる、二枚目。
もうメガネはフレームしかない。
よし建前なく全力で新たな自分をさらけ出していこう!
サディスティックな仮面がメンタル鼓舞してくれるよ!

<やはり各地で高度な戦闘を記録していると経験値が多いですね! ありがたや〜。
あっ、罠補助の子どもがいるからついでに分身体を取り付けましょう>

「……そこまでバラしても良いのですか」

<ラナシュの脳内アナウンスが届いている時点で、貴方は|レナパーティの一員(レナさまのしもべ)で御座いますからっ>

サディスの心のメガネフレームがぶっ飛んでいった。

<あっちの方向に行きたいです!>

「承知致しました」

<突撃ぃーーー!>

「スキル[切断糸]」

精霊が強化した壁を見事に切り裂く!

現れたのは隠し廊下。

<[魔力探知]が、この廊下に仕込まれた罠を察知したんですよね。ンフフ、いいスキルを手に入れちゃいました♪>

廊下は先が見えないほど長い。
現在、この屋敷の内部は精霊が手を施していて、外観よりもとても広く頑丈になっている。
夢組織が精霊の活動を止めたので、急に空間が歪むことはないようだが。

<マップを埋めるの大変そうですねぇ>

「成し遂げます」

<さっすがサディスティック仮面さん! 大好きぃ♡ マスター・レナのことはもっともっともーっと好き♡>

戯言を無表情でスルーしながら、足音もなくサディスティック仮面がパシる!!

***

謎の美形青年を前にしたイヴァンはぱちりと瞬き。
[観察眼][鑑定眼]で敵を探る。

「従魔で執事、|完璧な(パーフェクト)モスラ事、従魔レッド…………か」

決めゼリフを淡々と繰り返されてもモスラは微動だにしない。
従魔レッドであることを誇っているので一切の羞恥心がないのだ。

レナの従魔として、優雅に一礼。
しかし目はイヴァンをずっと捉えていて、殺気を放っている。

「レナ女王様の従魔、ということで間違いがないな? 赤色だし」

「貴方が主人の名前を呼ぶのは不愉快です」

「以前『レナ様とお呼び』とオススメされている。彼女の意思だ」

とても自分に都合がいい解釈をしていた。
イヴァンもメンタルがとても強い。

モスラがスッと目を細める。
無意識に[威圧]しているが、自己中イヴァンにはまるで効いていない。

「まあ、存在を消せばすべて解決ですね」

極論に至った!!!!
フェニックスグローブをぎゅっとはめ直す。

「だが断る。俺は従魔たちを制圧して、レナ女王様に鞭打たれるべく向かうと決めている。
従魔を制圧してから、という条件は面倒だが、安全が確保されてから趣味に走れとしばしの主人に言われているのでな」

イヴァンは首輪をつついた。

(ラミアの温泉でルーカティアスが視た通り。今、あの死霊術師(ネクロマンサー)は夢組織に従属し、行動を制限されている)

ルーカの言葉を思い出しながら、モスラが作戦を練る。

ズガン!!!!!!

思い切り足を床に打ちつけて、床を砕き、廃材を手にした。
高速で、投げるッッッ!!

口を開く間もないので、イヴァンは避ける。
しかしかけらの一つにスピンがかかっていたので、腕を負傷した。

「ぐ……!」

荒く削られた傷口がじゅわりと痛くて、とても|キモチイイ(・・・・・)。
イヴァンにかけられた「運命の宣告(センテンスト)」がじわっと嗜好を侵食する。

(私は[復讐]スキルを警戒しなければならない。拳で直接殴ることはできない……レナ様に与えられたこの魔人族の身体を無様に傷つける訳にはいかないので。
ああ、腹立たしい)

「なるほど。[復讐]を警戒か」

「おや。察しがよろしいようで……。ルーカティアスが貴方の能力を分析済みです。
[復讐]スキルの効果は、相手自身の力で物理的怪我を負わされた場合、同じだけの怪我を与える……というもの。
この部屋の素材は精霊のものですから、私自身の力とは判定されません」

「ああ、あのシェラトニカ様の顔のオリジナルの目か。
それにしても、ずいぶんな屁理屈だな。お前が破片を手にした時点で、それはお前の所有武器とみなされるべきではないか?」

モスラはピクリと眉を跳ね上げる。

(おそらく世界の判定を勝ち取ろうとしているのでしょう。残念でしたね)

▽電子ウィンドウが現れた!
キラの分身体がウィンドウを展開したのだ。

<ただいまの判定、モスラさんの意見に一票〜! この屋敷の素材は精霊のもの!>

パーン! と紙吹雪が舞う。
イヴァンは目を丸くした。

「スキル[復讐]」

発動しない。

「世界は我々の味方のようですよ?」

<この世界の神にナリターーイッ! 主張ははっきり申し上げますぅ>

「実に面白い」

やっと、イヴァンはモスラに興味を示したようだ。

「闇魔法[シャドウ・ホール]」

イヴァンが結界を張った。
想定通り。
モスラが駆けだす!!

「思う存分殴れるこの時を待っていました!」

結界に正拳突き!!

バリバリと結界にヒビが入り、衝撃の何割かがイヴァンへのダメージとなる。

「ぐっ!」

「近くで見ると……本当にゾッとする気持ちの悪い表情……」

モスラは心底軽蔑した目を向ける。
ぶっちゃけ視界に入れるのも不愉快だ。
主人にとっての害悪という時点で好感度マイナス100000000点、そして性癖が理解できなくてマイナス10点だ。

イヴァンを直接殴らずに、服の袖を持ってぶん投げた。
壁に激突、復讐判定はグレー。

<たまたまの接触事故ですかね!>

キラの援護がつよーい!

イヴァンの性癖もつよーい!
だからこそモスラの攻撃を避けにくいのだろう。動きが鈍い。

「じわじわいたぶって遊ぶ趣味はありませんので」

モスラは支柱を一本折って、イヴァンが倒れこんだ上にガツン!! と叩き込んだ。
即死の致命傷だ。
当たっていれば。

「さすがにそれは結界で弾きますか」

「まだ死ぬには早いと感じている」

攻撃から身を守ったものの、イヴァンの杖の宝石がひとつ、パリンと割れてしまった。
魔力補助をしてくれる石だったのだが。
チッ、と舌打ちを一つ。

「[トライ・ワープ]」

場所を移動。
従魔が目の前にいる限り、モスラを放っておいてレナ女王様に会いに行くことは許されない。

▽大乱闘!

 

 

 

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