173:レナパーティの美しさ(キサ視点)

妾はキサ・ファリーナ。
ラミア一族の次期族長を退いて、今は魔物使いレナ様の仮従魔となった。
現在、ラミアの里を離れて、レナパーティとともにシヴァガン王国に滞在している。

王都には様々な魔人族や物が溢れていて、ついきょろきょろと周囲を眺めてしまう。

妾はレナ様たちに誘われるまで、鍾乳洞から出たことがなかったのじゃ。
真新しいものがこれでもかと溢れる世界を、魂が繋がった仲間たちとともに満喫している。

「あ。きれいな髪飾り!」

王都を散策中、とある露店のディスプレイが気になって、そっと足を止める。

「本当だ。キサ、アクセサリーを見に行こうよ。好きなのを選んでごらん?」

「い、いいの? レナ様」

「うん。リリーちゃんやシュシュにも、露店でアクセサリーを買ってるからね。キサのも買ってあげたいの」

「うわあああ! ますます信仰心が上がるのじゃー!」

「そ、それはちょっと……主人への愛情が増す、くらいがいいなぁ」

困ったように笑っているレナ様に「ありがとう!」と伝えてから、一緒に露店に行って、商品台に並べられたアクセサリーを眺める。
仲間もぞろぞろとついてきて、大所帯で露店を囲んだ。店主の目がキラリと光った気がしたが、それよりも商品に釘付けになる。

髪飾りにイヤリング、ネックレスにブローチ、ブレスレット、指輪。素材はリボンに造花にガラス、天然石など……。

ああもう、なんて数が多いのじゃ……!
こんなの目移りしてしまうに決まっておる、くううっ。
今までは、レーヴェたちがお土産に持ち帰ってきてくれたアクセサリーをうっとりと眺めているばかりであった。自分で商品を選ぶのは初体験じゃな。

えっと、レナ様が言っていたことを思い出そう。
”初めての出来事は失敗を恐れず積極的にチャレンジ!”

もし何かあっても、レナ様たちがフォローしてくれるらしいから、心強い。

しかし商品との出会いは一期一会なのじゃ。
真剣に吟味し続けていると……

「美しいお嬢さん。このアクセサリーも、特別に見せてあげよう」

「なんじゃと!?」

店主が、店の奥から別のショーケースを取り出してきた。
ああああもうううう決まりかけていたのに!
目を皿のようにして、新たなアクセサリーを眺める。
うわぁ。この新しいショーケースの方が、凝った商品ばかりなのじゃ。
あっけなく関心が移る。

「レナ様ぁ。決められぬ……このような試練、とても決められぬ……!
妾に一番似合うものを選(よ)ってはくれぬか?」

「うーん、じゃあ少しだけ手助けしましょう。キサが欲しいのは髪飾りなんだよね」

レナ様が妾の隣に並ぶ。
ふわりと花のいい香りがする。

「今のお花の髪飾りがお気に入りみたいだから、そこにシンプルなものを付け足すのはどう?
シンプルだけど豪華な花飾りに負けないくらい存在感があるもの……って考えると、この辺りかな?」

レナ様は4つの髪飾りを指差した。
質がいい真珠や宝石など、小さくても輝きが強い逸品じゃ。おお!
店主も「お客様お目が高い!」などと言っておる。
ふふん、レナ様はすごい!

「キサに一番似合うものを選ぶのもいいんだけど、自分が直感で気に入ったものも、素敵な宝物になるはずだよ。最終決定はキサがしてごらん」

なるほど。レナ様の言葉にはいつも考えさせられる。

「これがいい。レナ様」

まろやかな黄みかがったムーンライトパールを選ぶと、レナ様はにこりと頷いた。
店主がなぜか妾たち以上に喜んでいるので、首をかしげる。

速やかに商品が手渡されて、可愛らしい紙袋をそおっと胸に抱きしめた。
レナ様がお金を払った。
少し歩く。

………………。
あっ。お金!?

妾がハッとした時には、すでに露店はかなり遠方になっていた。

「レ、レナ様……! もしやこの髪飾り、高価だったのではないか? 妾は貨幣価値をよく知らぬ。無理をさせてしまったのでは……」

瞳が潤む。慌てて謝ろうとしたが、レナ様はいつも通りにやんわりと微笑みかけてくれる。

「ん? 確かに、露店にしては結構いいお値段の商品だったかなー。
3000リル。街の宿泊所に一週間泊まれるくらいの値段なんだよ。これから覚えていこうね。
レナパーティにとっては問題ない値段だから払ったの」

クレハとイズミがぱちんとウインクする。
ああ、そういえばレナパーティはスライムジュエルによって大金持ちなのじゃった……。

「商品に対しての値段設定はボッタクリじゃないって、視て確認したし」

黒猫ルーカがレナ様と目を合わせて笑いあう。
なるほど、そこも確認しておったのか。
魔眼を柔軟に活用していたようじゃ。

「なによりも、店主さんはキサを本心から綺麗だって褒めてたから、気分が良かったんだよねーー!!」

レナ様がドーンと胸をはった。膨らみが不足しているので分かりづらいけど、きっと胸をはっている。
妾の美しさを誇ってくれたのじゃ。

「レ、レナ様ぁーーー!」

「ふふふ! ちょっぴり贅沢な買い物でも、気持ちよく買わせてくれたら出費もたまにはいいものだよ」

ひしっと街中でレナ様と抱き合う。
あああ、心がぴょんぴょん弾むのじゃーー!
従魔仲間といるのも安心するけど、主従の魂の繋がりはいっとう心地よくて、メロメロになってしまうぅ。

高級品を惜しげもなく買う少女を狙って後をつけてきていた不届き者は、護衛部隊によって捕縛される。そんな光景がチラリと視界の端に見えた。

こういう時にレナ様はなんて言ってたっけ……

「ご苦労様!」

あとで、お疲れ様って言うといいよって教育された。ご苦労様、は目上が目下に言う言葉らしい。それならばレナ様が声をかける時には間違っていないのでは? と聞いたら苦笑いされた。

護衛部隊がこっそり見守り活動をしている時にはあまり話しかけちゃだめ、とも教えられる。
むう、覚えることがたくさんある。
これからたくさん頑張るのじゃ!

***

淫魔ネレネのお宿♡に入ると、みんなが思い思いにくつろぐ。
可愛らしくてロマンチックな部屋は、妾もお気に入り。いるだけで幸せな気持ちになる。

買った髪飾りをレナ様がさっそくつけてくれる。

「真珠に穴が開いていて、髪を通して固定するみたいだね」

細い指で、髪をとかされるのが心地いい。

「できたよ」

鏡を見せてもらうと、センスよく真珠がちりばめられていた。

「こんな髪型、初めてなのじゃ。綺麗で嬉しい!」

笑顔でレナ様を振り返ると「とても素敵」って褒められた。
ぽわっと頬が熱くなる。
好きな人からの褒め言葉は100倍くらいの威力を持つとつい最近思い知って、レナ様にドキドキしっぱなしじゃ。

自分の頬を手のひらで包むと、ぷるるんときめ細やかに潤っている。
「恋の胸の高鳴りは美容にいいんよ」ってレーヴェが言っていたのは、こういうことなのか! さらに嬉しくなる。

………………オズワルドへの恋心は、違ったのかなぁ?
着物の袖を見つめる。
悪夢の苦しさを白炎で皮膚ごと焼き尽くしてくれたオズワルドへの気持ちは、妾の初衣をこんなにも鮮やかに染め上げたというのに。

少し丈が短くなって手首が覗いている桃色の着物。初恋の色だとレーヴェは言った。
うーーーーむ?
あの時の恋心が蘇ってこなくて、首を傾げてしまう。

「あ。キサのその着物、早めに裾直ししなくちゃね。また服屋さんに行こう。あと、装飾保存ブレスレットも買わなくちゃ。高級アクセサリー店に行こうね」

「レナ様ーー!」

溢れんばかりに美しい感情や物を与えてくれるレナ様を見ると、一瞬で心が高揚して、悩みはあっけなく吹っ飛んでしまった。
ん? そういえばラミアの仲間に「ポジティブで持ち直しが早い」ってよくからかわれておった。本当にそうなのかも?
懐かしく感じるなぁ……。

妾は元気に過ごしているのじゃ! って、すぐに伝えたい。
キラにフレンドコールをお願いした。

***

お風呂の時間になり、名残を惜しみながら髪飾りを外す。
装飾保存ブレスレットが手に入ったら、髪型なども登録できるそうじゃ。新たなアクセサリーとの出会いが楽しみで、むふふとにやける。

脱衣所で、従魔の先輩の女の子たちが一瞬で裸になった。
服はブレスレットにしまわれているとのこと。
ふむふむ。

「ん? なーにっ、キサ。そんなに、じーっと……見つめちゃ、イヤン♡ クスクスッ」

「シュシュのことはむしろじいーーっと見てなにか学んでもいいよ! 先輩だから後輩のために身体をはるの。押忍!」

リリーがしなりをつくって恥ずかしがり(ポーズだけかもしれぬが)、シュシュはむしろ仁王立ちでガッツリ裸体を見せつけてきた。おおー。
自然に脱いで過ごしていたラミアとはまた違う対応に戸惑いつつも、幼児ながらに美貌という言葉がふさわしい二人の裸体を拝む。

「「キサ?」」

「美しいものには敬意を払うのがラミアのしきたりなのじゃ」

「「そ、そんなぁ」」

先輩たちが照れると、白と褐色の肌にほんのりと赤みが差してこれまた美しい。
ーーーーハッ!
もしや、このように赤面して肌の様子が変わることも「恋をすると綺麗になれる」ということか?
そうに違いない。
妾もこれから積極的に赤面していこう。うむ!

脱衣所にさらに一人、レグルスが入ってくる。
おや? 初めてのことじゃ。
どうやら、妾たちがはしゃいでいたから、様子を見てきて、ってレナ様に頼まれたよう。

「…………。ええと……みんなで何をしているんだ?」

まあこの光景は経緯を知らない者が見たら驚くかもしれない。
裸でポーズを決める美幼女が二人に、拝んでいる美貌の少女。

「後輩と、親睦を、深めてるのっ」

「裸のお付き合いだよ!」

「そうか。失礼する」

速攻で逃げ出したレグルスに、がしっとリリーとシュシュがへばりついた。
こ、これ! まるでコアラとやらのようではないか。もしくは猿。そのようにはしたないポーズはやめるのじゃ!

「「一緒にお風呂入ろうよ、後輩よー!」」

「〜〜〜〜くっ、お付き合いいたします……ッ」

おお? 予想外に攻略成功?
そうか、レグルスは上下関係に弱いのじゃ。
このあたりはリリーとシュシュに誰かが入れ知恵していたのじゃろう。
裸の女の子にくっつかれているレグルスは、このまま別室に下がることも許されない。
なかなか戦略的でやりおる。

いつも一人でシャワーを済ませていたレグルスは、盛大なため息を吐いて、着ていた服をさっとブレスレットに仕舞った。
こういう時には思い切りがいい。

細身の筋肉がついた女体はしなやかな曲線を描いていて、見事なプロポーション。おお、こんなに胸が大きかったとは。
思わずこちらも拝んだら「やめてくれ!」と真っ赤な顔で叫ばれた。

美は誇るべきものだと、レグルスにこれから熱心に説いていこうではないか。
いつか、レナ様に「綺麗」って褒められる喜びについて語り合いたいのじゃ! むふふ。

「「レグルスが一緒に入浴すると聞いて!」」

バーーンっと扉を開けて、クレハとイズミも参戦してきた。
どこで聞いておったのか? キラ?

興味津々に裸体を見られて、レグルスの顔が引きつっている。
えーと、スライムは無性別だから問題はないのか。
しかしセクハラというやつではないか?
口には出さなかったが、先輩たちはきっと幼児らしく無邪気な笑顔で「イタズラ♡」と言うのだろう。まあいいや。

バスルームでゆったり過ごすための人数はこれくらいが限界。
レナ様はあとで入ると聞いている。
今は別室で、ミディに根気強く日常生活の常識を教えているところじゃ。
レグルスによると、食材魔物デリシャスクラーケンの本能が騒いですぐに食べられたがるので、教育が長引いているとのこと。

妾が着物をはらりと脱いでいくと「きゃー色っぽい〜」「わぁ。成長してる」「「やーん♡」」と賞賛された。
ここぞと頬を染めて照れておいた。

いざ、入浴!

「お宿♡のバスルームは照明が優しくて落ち着くのじゃ。
ラミアの里の温泉に浸かっている時くらいリラックスしてしまう」

わくわくとシャワーに向かうと、

「この広さは一般的ではない。中浴場くらいのバスルームがついた宿泊所など、特別だ。
オーナーが[リメイクルーム]を使う上位淫魔だからこその部屋割りだと覚えておくといい」

「「そうなの?」」

レグルスから説明をうけて、妾とシュシュが首を傾げる。
このお宿♡しか宿泊所を知らないから、大部屋の備えつけ風呂はこのようなものだとばかり思っていた。

レグルスが小さくため息をついて「レナパーティの一員として過ごしている限り、自然に一般常識を学ぶのは難しいかもしれないな」とぼやいた。
彼女の実家も大風呂の豪邸らしいが、諜報部の任務で小さな宿にも泊まった経験があるそう。

「「我らは小さなお風呂にも入ったことがあるよっ」」

「私もっ。ご主人様が、旅を、始めたばかりのころにねっ」

「「博識ー! 経験が豊富ー!」」

「「「えへん!」」」

妾とシュシュが声を揃えて先輩たちを讃えると、妙にいたたまれなさそうな顔になったレグルスが無言でシャワーを浴び始めた。

シュシュの獣耳がひくひく動いて「この無邪気な空気の中に大人一人はつらい」と小声の呟きを拾う。
なるほど。
シュシュが「忘れ物!」と言って、脱衣所に戻っていった。後輩のために何か思いついたのかもしれぬ。気配り上手な先輩たちは、小さくとも頼りになるのじゃ。

「うんっ。キサ、シャワーの出し方、覚えてる? 私が……教えて、あげよう!」

リリーが嬉しそうに申し出てくれたので、もう操作方法は覚えておったが、甘えることにした。レバーを操作して、水流の強さ、温度を調整。ぬるめの温度が妾にとっては心地いいと、覚えていてくれたらしい。

バスタイムは美容のチャンス。大好きな時間じゃ。

ふんふんと鼻歌を歌いながら髪をケアしていく。
門外不出の贅沢美容アイテム、スライムジェルを馴染ませると、しっとりと髪が艶を放つ。
レーヴェたちにもこのアイテム贈ってあげたいけど、アイテムの出所がジュエルスライムだから量産は無理だし、もし大衆に知られたら騒ぎになる。秘蔵にするしかないのが残念じゃ。
妾が美しくなって帰ることで納得してもらおう。

浴槽のお湯はほんのり輝いていて、エリクサーの美肌効果にも期待してしまう。

「「キーサ!」」

「うわっ」

背後からクレハとイズミにぬるりと抱きつかれた。

「「スライムジェル風呂にしてあげよっか! お肌がもーっとツルッツルになるよぉ〜♪」」

「本当か!? 是非お願いするのじゃ」

嬉しくってにこにこと告げると「「そんなに可愛くお願いされたら張りきっちゃうわーっ」」とケラケラ笑っている。
二人はスライムに戻ってぷくーっと膨らむと、妾を持ち上げて、床を滑るように移動して浴槽に飛び込んだ!
わわっ!
バシャンとお湯がはねる。
「楽しそうー!」とリリーも飛び込んできた。

スライムが混ざってとろりとした紫色のお湯になる。
スライムジェルに全身浸かれるだなんて、贅沢極まりないのじゃ〜。

うっとりと息を吐いて肩まで浸かると、

「「お湯加減はどーお?」」

上半身だけをヒト化させたクレハとイズミが、湯船のふちに肘をつきながら尋ねてくる。
リリーは二人と同じ姿勢で、ぱしゃぱしゃと足をばたつかせて遊んでいる。

「最高のお湯なのじゃ。肌がつややかに潤って、ぽかぽか温かくて。体力も回復する。仲間の魔人族はみんな美しくて目の保養にもなる」

「「やーん♡ 照れるー♡ キサも進化してさらに綺麗になったよねー」」

「蘭美亜(ラミア)として、もっともっと美しさを極めてみせるのじゃ」

褒めあうとほんわりと頬が色付く。
そう、これこれ。穏やかなドキドキも素敵じゃ。

シャワーを終えて髪がしっとり濡れたレグルスが、浴槽の状態を見て、頭を抱えている。
シャワーのみで出てしまうなどもったいないではないか?

引き止めようとした時、浴室の空間がぐにゃりと変化し、広さが変化する。
さらに広々としたバスルームを唖然と眺めて、妾たちは目を点にした。

扉が開いて、シュシュとミディ、レナ様が現れた。

「ただいまー! シュシュね、後輩が寂しそうだったからレナ様を連れてきたの。ふふん」

「今夜はみんなで入れるように、ネレネさんにお願いしてもっと浴室を広くしてもらったんだー。快諾してくれたよ。
レグルス、みんなの様子を見ててくれてありがとう。寂しかったの?」

「ミィ、濡れるの好きナノヨー♪」

至近距離でばったりレナ様たちと鉢合わせたレグルスが硬直している。
目の前に大きなおっぱいがあるから、レナ様も硬直する。
ああー……なんとなく内心を察した。

「…………。……仲間だと思っていたのに……っ! レグルス……! ナイスプロポーション」

「勘弁してくださいレナ様……」

体型コンプレックスがあるレナ様は内心血の涙を流していそうじゃが、抜け目なく従魔を褒め称える。
ブレない姿勢に惚れ直したぞ!

レグルスは赤い顔でふらりとUターンして、浴槽に沈んだ。

軽くシャワーを浴びたレナ様たちも、入浴。
はしゃぎはじめた幼女たちは楽しそうじゃが、しんみりしているレナ様は妾が励ますのじゃ。

「大丈夫じゃ、レナ様。妾もずっと同じ悩みを抱えておった。しかし! おかげさまで今はこの通り!」

むにっと自分のおっぱいを両側から押して谷間を強調する。

「レナ様の体型もこれから成長していくに決まっておる」

どうじゃ! レナ様はハッとした顔になった。

「そ、そうだよね。これからだよね! 私、まだまだ成長期だもん!」

「うむ! 脱皮しよう」

「それは無理」

「なんと」

ラミアの常識は他の種族の非常識、となることは、よくある……。
苦笑しているレナ様のおっぱいを「頑張れ! 頑張れ!」と励ましておいた。

うむ! 感激の涙を流してくれている。良かった。
顔を覆っているレグルスと、クレハ・イズミも、レナ様と気持ちが共鳴したのかもしれぬな。
浴槽の上部にパチパチと光がはじけて、聖霊様まで応援しているようじゃ。

んっ!?
浴槽のお湯がぷるぷる揺れておる。
クレハとイズミ、感動しすぎなのじゃ〜!

「く、くすぐったいぃ〜!」

みんなが悶える。

『アッ! クラーケンボディに戻っちゃった。ぷるぷる、ゾクゾクしちゃうネ……♡』

笑った拍子に、魔物としてまだ未熟なミディはデリシャスクラーケンに戻ってしまった。
全員が戦慄したが、心配していた麻痺毒の流出はなくてホッとした。
いや、こっそりクレハとイズミが毒だけを[溶解]してくれていたかもしれぬ。

くすぐったいから、みんなが飾らない顔で笑っている。
カラフルな髪の毛が揺れる。

みんな違って、みんないい。
レナパーティは誰もが美しく、一番美しいのはその表情だと思う。

『イートミィ♡』

「きゃーー!? デリシャスクラーケンの本能、ストップーー!」

大慌てでミディをヒト型に変化させて、なんとか生臭い浴槽になることは防いだレナ様のファインプレーを、みんなで褒め讃えた。

バスルームを出て、長風呂でのぼせた火照(ほて)った肌をうっとり眺めて、妾はクスクスと笑った。

 

 

 

 

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