169:後輩レベリング

▽第一区画鍛錬場に 辿り着いた。

さすがに最上級者向けともなると、巨大なストーンゴーレムと案内係が数名ずつ控えている。
厳しい雰囲気に、レナが「うっ」と怯んでしまったほどの威圧感だ。

先頭を歩いていたロベルトを見た案内係が、慌てて駆け寄ってきた。

「お疲れ様であります、ロベルト殿」

「ああ。業務ご苦労。
今から鍛錬場を使いたい。一番広い場所は空いているか?」

「問題なく利用して頂けます。
……この場所で鍛錬をなさるのですか? 珍しいですね」

ドリューとリーカ、レグルスを見て、案内係が会釈をした。
そこでようやく、一番後ろにいるレナパーティを目に入れる。

「俺たちではなく、こちらの冒険者パーティが利用するんだ」

ロベルトが振り返ってレナパーティを視線で指すと、案内係は困惑した顔になった。

「失礼ですが、あちらの冒険者のギルドランクは?」

「確か、Fランク」

……顔を顰めてしまった。

レナたちは、ギルドランクによる信用の大切さをしみじみ実感する。
ただでさえ、見た目はちんまり可愛らしくて、強そうには見えないのだ。

「彼女たちは実力者だと、俺が保証しよう。
万が一危なくなったら護ると約束する。彼女たちの護衛中だからな。この鍛錬場で重大な事故は起こさないさ。
ちなみにレナパーティは冒険者ギルドランクアップの依頼をこなしたばかりなので、これから数段飛ばしでランクアップする予定だ」

「数段飛ばし……!?」

今度は真剣な目で、案内係がレナパーティを見た。
ちんまり従魔たちが胸を張る!

その拍子に、獣型オズワルドの頭からシュシュが転げ落ちたり、スライムが餅のようにくにょーんと伸びたりと、なんとも絵面が締まらない。

案内係もストーンゴーレムもロベルトたちも笑いをこらえながら、レナは思い切りにやつきながら、入場門をくぐった。

「幼児たちをぞろぞろ連れているとさすがに不審がられると思い、魔物型で移動しましたが、印象の特殊さはあまり変わりませんでしたね」

「あー、ロベルトさんそんなこと言うー?」

『『『『ぶーぶー!』』』』

「うちの子たちは最高なんですよ」

『『『『っきゃー! レナ様ー!』』』』

いつものパターンで賑やかに訓練場の最奥にたどり着いた。

「わぁ。広ーーい!」

レナが思わず声を上げてしまったように、鍛錬場は驚くほど広々としている。

「街の中にこんなに巨大な鍛錬スペースを取れるなんて。国土の広いシヴァガン王国ならではですね」

「土地は有り余っているくらいですから。
今の政府でギリギリ管理できるくらいの大きさで王都面積を定めていますが、周辺の土地もいざとなれば領土にできるでしょう。
シヴァガン王国には様々な種族の魔物が集っているので、他の国家も、自分たちの種族が受け入れられるならば文句は言わないはずです」

ロベルトが鍛錬場の奥を指差す。
要塞のような壁があり、ストーンゴーレムが埋め込まれていた。

「説明します。
この鍛錬場では、ストーンゴーレム・モドキを倒していきます。
受付にいたストーンゴーレムを模して造られている訓練ゴーレムなので、モドキでも十分強い。
油断しないように」

続いて、赤いラインを指差す。
見辛かったので、キラが拡大してウィンドウに映してくれた。

「それぞれのゴーレムの前にある、赤い線を越えると、ゴーレムが襲ってきます。
一度に全てのゴーレムが動くわけではありません。
しかし線をふたつ踏むと二体のゴーレムが稼働しますので、慎重に戦闘して下さいね。
一体ずつ堅実に倒すことをオススメします」

「ハーくん、理解できたね?」

『はぁーーい!』

ハマルが、もくもくとした綿雲状の尻尾をふりふり揺らす。
目はギラギラしている。

今日の戦闘は、巨大ヒツジハマルの背中にレグルス・キサ・ネオが乗り、ついでに経験値をもらおうという便乗レベリング予定だ。
レベル1の後輩従魔たちをさくっと進化させたいところである。

『まっかせてー、レナ様ー。ボクね、悪夢の犯罪組織になんて負けないくらい強くなるって決めたんだもーん。
訓練場の罠なんてけちょんけちょんだよー!
いっぱい頑張るから、いっぱい応援して欲しいですー』

「……うん、分かった! じゃあ諸々最大でいくよ。
変身、赤のフルコーディネート!
称号[お姉様][赤の女王様][サディスト]セット、スキル[鼓舞]!」

キラのきらびやかな演出の中で、レナが派手にポージングしてドレスに着替える。
高笑いしながら、鞭をピシィン!! と地面に打ち付けた。

((あいかわらず、強烈!))

護衛部隊と従魔の気持ちが、意味はそれぞれ違うがシンクロする。

従魔たちのテンションがぐぐーーーーん! と上がり、ゾクゾクと毛を逆だたせて身震いした。

鼓舞が半分しか反映されないレグルスとキサも、初めての感覚に頬を紅潮させている。

『スキル[体型変化]ー、よーし! まず2メートル』

ハマルが大型になる。

『ありゃ? 張り切りすぎて、3メートルになっちゃったー。
でもレグルスならー、これくらいの高さでも登れるよねー』

「ああ。問題ない」

レグルスはそう言うと、キサを片腕でひょいと抱き上げて、ハマルの背中に飛び乗った。
もふんっ! と羊毛に埋もれるように着地する。
ネコ科らしいしなやかな跳躍力に、ロベルトが満足そうに頷く。

『さすがー。手綱代わりに、そのリボンをしっかり掴んでてねー』

「承知した」

ハマルの首のリボンを手に巻き付けるようにしてレグルスが持つ。

「キサ。前を向いて跨(また)がれるか?」

「そ、そのようなはしたないことはしてはならぬと、レーヴェに教えられたのじゃ」

キサは脚を揃えて、優雅に横座りしている。
顔を赤くして「いやいやいや」と頭を振った。

(彼女のこれまでの人生を考えると、いきなり冒険者らしくふるまうのは難しいか。それにスカートがはだけてしまうのはよくない)

「分かった。支えるから、しっかり俺の背に手を回して、振り落とされないようにつかまっていてくれ」

「ん!」

キサはホッとした様子で、ぎゅっとレグルスに抱きつく。
小柄なため、レグルスが包み込むように支えていれば、怪我をすることはないだろう。

『準備、いいみたいだねー? クーイズ先輩もスタンバイオッケー?』

『『うっす! 盾の中にネオも内包してるよん。怖がってないみたいだから、このままぶっつけ戦闘シアターでいこうぜー!!』』

『ミィーーー♪』

『臨場感バッチリアトラクションだねー。
よーし、いっくよー! さらにスキル[体型変化]ー! 10メートル行っちゃえー』

ハマルが、ずももももっと大きくなっていく。
まるで地上にある雲のようだ。
下から見上げている護衛部隊は唖然としている。

「いいじゃない、ハマル!
そう、大きさは力よ。オーーホホホホホ!!
スライム盾も最大限に展開して、ド派手にキメていらっしゃいな!
手加減は無用だわ。
早く終わらせて、一緒にのんびりできる時間を作れるといいわね」

『ふああぁ、レナ様ーもう一声ー!』

「殲滅せよッ! 私の僕(しもべ)よ!」

ハマルが『メエエエェェ!!』と大咆哮を上げた。
草食獣らしからぬ力強さでズドォンッ! と地を蹴り、駆け出す!

<さあーー始まりました、レナパーティのレベリング戦闘!
舞台は上級者鍛錬場。どのようにゴーレムを倒して行ってくれるのでしょうか? 現場のハマルさーん!>

キラがけたたましくアナウンスを始める。

『全 部 ぶ っ 飛 ば す』

<そうとうキマッてますね。正面衝突で打ち勝つそうです。マスターの声援がとっても効いたようです>

「オホホホホホ!!」

やかましい。しかしその騒がしさすらも、ハマルが駆ける轟音が消し去っていく。

<第一赤ライン、通過! ゴーレムが向かって来……おおーーーっと!
ハマルさん、ガン無視です!
続いて第二赤ラインを通過します。またも、ゴーレムを無視!>

ハマルはゴーレムの前をすり抜けてひた走り、ついに15体のゴーレム全てを起動させてしまった。
護衛部隊がレナの様子を伺う。

「やれるのね? ハマル。頼もしいわ」

くいっと口角を上げて笑うレナ様。
その様子をキラが映像でハマルに届けてやると、ハマルのメンタルが鼓舞される!

『どおりゃーー!』

空間の端の結界を脚で蹴りつけ、ハマルは豪快にUターン!
最上位の結界が一瞬揺れたほどの衝撃だ。

スライム盾がハマルを包むように後ろまで展開する。
内包されたネオは、初めての光景にはしゃいでいる。

▽ドッゴーーーーン!!
▽バゴーーーーーン!!
▽ズドォーーーーン!!

まさに無双!

超硬度の鍛錬ゴーレムが、バリンバリンと粉砕されていく。
ヒツジのタックルで。
ドミノ倒しのように、縦に並んだゴーレムを次々ぶっ飛ばしていくどえらい戦闘ぶりだ。

『お? 横に避けようったってそうはいかないよー経験値は逃さないー。
スキル[夢吐き]緊縛!』

死角からの反撃をしようとしていたゴーレムは夢の縄に捕らわれて、身動きが取れなくなる。

▽ズゴォンッッ!!!

『どんどん行くよぉーっ』

荒ぶるヒツジに騎乗しているレグルスは、奥歯を噛み締めて必死に手綱を握る。
ゴーレムがぶっ飛ばされる爆音と飛び散る破片、衝撃にキサが怖がり、「ひゃあ!」とレグルスにしがみつく。

レナパーティ加入の洗礼はあまりに強烈であった。

激しい揺れに、はしゃいでいたネオすらも目をまわしかけている。

<カンカンカーーーーーン!
そこまで、試合終了!
撃破数15体、こちら側のダメージはゼロ。
夢喰いヒツジ・ハマルの圧倒的勝利ーーっ>

『メエエエェェ!!!』

フィールドの端から端までを駆け抜けたハマルが、興奮冷めやらぬ様子で、ぶるるっと鼻息を吐き出した。
背後には、ごろりとゴーレム素材がたくさん転がっている。

「……まさか、ストーンゴーレム・モドキが残骸になるとは……。
研究部のグルニカ様の特製品で、本来のストーンゴーレムよりも攻撃力は低いが、より頑丈に造られていたのだが……?」

「ひええぇ」

「末恐ろしいっすねぇ……!
うっわ、レグルス大丈夫かよ? ぐったりしてるけどキサ姫を落としてないところはさすがだなー」

ロベルト、リーカ、ドリューがそれぞれコメントする。
思わず全員で拍手していた。

ハマルがぐんぐん小さくなって、乗せていたレグルスとキサの下で、ぺしょんと腹ばいになった。
レグルスが震えるキサを抱えて、ふらりとしながら立ち上がる。
レナの側にキサを下ろしてあげた。

「レ、レナ様ああぁ〜……! こ、怖かったのじゃ……!」

「えらかったわね、キサ。よく耐えたわ。これから慣れていきましょうね」

レナは抱きついてきたキサを受け止めて、優しく言い聞かせた。
慣れていきましょう、と聞いてキサがびくっと反応すると、

「痛くなかったでしょう?」

「……うん」

「守ってくれたレグルスにお礼は言った?」

「あ。まだ……。ありがとう、レグルスぅ」

涙目でキサにお礼を言われてしまったレグルスは、「どういたしまして」と言うことしかできない。
ハマルのやりすぎを咎めるのは諦めた。
これがレナパーティの常識なのは、これまでの護衛任務で把握している。

レナがうまくキサを丸め込……フォローしたので「みんなが守ってくれた分、妾も強くなるのじゃ」とキサから前向きな言葉を聞くことができた。

駆け寄ってきた小柄なハマルのことも、レナは抱きとめる。

「私の従魔としてふさわしい戦いぶりだったわ、ハマル」

『ふああぁぁ……!』

ハマルがとろけたところで、レナは称号群を解除して、普通の冒険者服に着替えた。

名残惜しそうなハマルの視線はスルーして、今度はクーイズとネオを褒める。

「大忙しですね。レナ様は」

「従魔になってくれたお礼に主人が返せるものって、愛情ですからねー」

ロベルトの言葉にレナは当たり前のように返す。
従魔を見る目は愛情に満ちている。

従魔からも好意が返ってくるからこそ、レナの愛情は尽きることがないのだ。
魔物使いと従魔は支え合っている。

▽レナは ギルドカードを 取り出した!

クラスチェンジの文字が赤く点滅している。
先ほど、レナパーティの脳内にはやかましいくらいに世界の福音(ベル)が響いていた。

<もう一度確認できたら便利ですよねっ。まとめていきましょう>

キラの一声、からの全員に聞こえるアナウンス。

<仮従魔:レグルスのレベルが上がりました! +10>
<仮従魔:キサのレベルが上がりました! +10>
<従魔:リトルクラーケン・ネオのレベルが上がりました! +10>
<<<ギルドカードを確認して下さい>>>

<<<☆進化の条件が満たされました!>>>

レナたちががくっとこけそうになる。

「キーラー?」

<えへっ♡ でもでも、福音(ベル)音源をコピーしてアナウンスしただけなので、世界の条件をいじるような特殊技能ではないのです。
ご期待に沿えず申し訳御座いません……しょぼん……>

「いやそれ十分特殊技能だからね? キラへの反動が心配だから危ないことはしないでね」

「音の一族ベルフェアくらいしかできそうにない芸当だぞ」

レナとロベルトが呆れたように言う。

<メインをどーーん!>

キラが持ち直した。

<進化先:火炎獅子>
<進化先:蘭美亜(ラミア)>
<進化先:デリシャスクラーケン>

<<<進化させるには、種族名項目をタップして下さい>>>

レグルスが息を呑む。

「進化先が、火炎獅子……!?
……こんなにあっさりとレベルが上がり……簡単にクラスチェンジを迎えてしまって……白昼夢でも見ているかのようだ……ッ」

複雑そうに言葉を絞り出したレグルスが、心臓のあたりをぎゅっと強く押さえる。
レナは静かに寄り添い、声をかけた。

「あのね、レグルス。
ハーくんに騎乗しただけで、って思うのは間違いではないよ。
実際にそうして経験値を得たんだから。
でも『簡単に』とは、私は思わないかな……。
まず、レグルスの頑張りっていう礎があったからこそ、今こうしてチャンスを掴んでいるの」

レグルスがすがるようにレナを見返す。
自分を納得させる言葉をくれるだろう、と信じた。

「レグルスが頑張って鍛錬した実力が認められて、難関の諜報部に入れたの。
そこでも真面目に仕事をしたから、ロベルトさんは貴方を認めて、いざ命が危なくなった時に本気で助けてくれた。
ロベルトさんが私を説得したから、貴方は仮従魔になった……。
従属を受け入れたのだって、すごく勇気を出して決断したでしょう?
全部、レグルスの努力の道なんだよ。
偶然じゃない。貴方が頑張り屋さんだったから、チャンスを掴むことができたんだ」

……レグルスの胸につっかえていた重苦しい感情は、レナの言葉により、溶けていった。
ふっ、と熱のこもった息を吐く。

「ご好意、甘んじて頂戴します」

「うん!」

レナがにぱっと太陽のように笑った。
飼い慣らされるのも心地いい、と感じかけて、レグルスは気恥ずかしそうに頭を振った。

キサもほっとした顔になる。

「レナ様。妾の進化先はどのような種族なのじゃ?」

「あ、わくわくしてるねーキサ。
みんなの種族説明文は、クラスチェンジタップ後に見れるからちょっと待ってて。
ーーキサやレグルスのことはロベルトさんたちも知っておくべきだと思いますし、聞いてもらって構いませんよ。
レーヴェさんが心配してるでしょうから、むしろキサの情報を伝えて下さい」

「ご配慮、感謝します」

ロベルトが会釈し、記憶係のリーカをレナパーティの近くに配置した。

「【火炎獅子】レグルスは望んだ通りに進化できそうだね。
【蘭美亜(ラミア)】東方系の魔物なのかな……? キサの着物に似合う容姿だといいね。蘭の花言葉は美しい淑女、だから貴方にぴったりだと思うよ。
【デリシャスクラーケン】……うっ……ネオちゃんは、さすがだね……!? 新種というか珍種というか」

『ミィーーー♪』

ネオが嬉しそうに声を上げる。
レナは苦笑いしてから、レグルスとキサの頷きを確認して、ギルドカードをタップした。

【火炎獅子】……太古の火山地帯で王者として君臨した、炎獅子の上位種族。逞しい脚で、岩山も難なく登る。太陽の光を吸収・放出することで、戦闘力がグンと上がる。
白炎と相性が良い。

【蘭美亜(ラミア)】……東方の200年生きた蛇の半身が、香り立つような美しい乙女の姿になった。一体しか生存例がなく、詳しい生態は不明。

【デリシャスクラーケン】……なめらかな魅惑のイカボディを召し上がれ。新種につき、詳しい生態は不明。

進化が始まる。

ヒト型だったレグルスとキサは、あらかじめ魔物型に戻った。

太陽の毛並みを持つ大きな雌ライオンの姿を、護衛部隊が珍しそうに見た。

「レグルスは雌ライオンとしては珍しい[獅子の風格]ギフトを贈られているため、大柄なんだ」

ロベルトの言葉に、ドリューがぽかんとしながら頷く。

レグルスの体躯がさらに大型に変化する。
日光を吸収して、毛皮が緋色のグラデーション状に輝く。
内側の膨大な熱に耐えながら、レグルスは地面を太い爪でひっかき、うめき声を上げる。
苦しげだが、緑眼は希望に輝いているように見えた。

キサはふんわりと羽衣に包まれる。
まるで東洋の天女のような姿となり、女体がより美しく整った。
着物を着ていても分かる、豊かな胸と細い腰、しなやかな腕。
少し背が伸びて、蛇の尾はツヤを増した。

リトルクラーケン・ネオのイカボディがぷっくりと丸みを帯びる。
ぷりぷりとハリが増した。もっちりしていて、とても”美味しそう”。
つぶらな青い瞳がぱちくりと瞬いて、純粋に『喰べられたい♡』という欲求を映す。
お刺身を想像してしまい生唾を飲み込んでいたレナと目を合わせると、パチッとウインクした。
額の赤い紋様が嬉しそうに光る。

▽クラスチェンジ 完了!

「名前:レグルス・カーネリアン
種族:火炎獅子♀、LV.11
適性:赤魔法[炎、熱]、黄魔法

体力:38(+20)
知力:25(+14)
素早さ:24(+10)
魔力:21(+11)
運:15(+7)

スキル:[炎爪]、[熱風]、[瞬発]、[持久力]、[暗躍]、[観察眼]、[|陽光吸収(フレアチャージ)]、[|陽光強化(フレアブースト)]、[騎乗]
ギフト:[獅子の風格]☆5
称号:魔人族、勤勉実直、問題児」

名前:キサ・ファリーナ
種族:蘭美亜(ラミア)♀、LV.11
適性:青魔法[氷]、黒魔法、黄魔法

体力:22(+10)
知力:30(+15)
素早さ:18(+8)
魔力:30(+15)
運:21(+13)

スキル:[蛇睨み]、[魅了]、[アクアミスト]、[|氷の槍(アイスジャベリン)]、[氷の息吹]
ギフト:[壮絶耐久]☆7
称号:魔人族、ラミアの姫君」

「名前:デリシャスクラーケン
種族:デリシャスクラーケン♀、LV.11
適性:赤魔法、青魔法[水]・黄魔法

体力:37(+20)
知力:15(+5)
素早さ:25(+5)
魔力:33(+20)
運:22(+12)

スキル:[毒手]、[イカスミバブル]、[火耐性]、[うるうるボディ]、[鈍感]
ギフト:[超再生]☆4、[シー・フィールド]☆4」

新たなスキルはレグルスの[騎乗]ネオの[鈍感]のみ。
レベル1から11までハマルに乗って駆け上がったので、戦闘技能を磨けなかった。
まずトラブルに備えてある程度の体力をつけておきたかったので、仕方ないだろう。
これから技を磨いていけばよい。
レナパーティには教育上手の魔眼調教師がいるのだから。

「お疲れさま。みんなよく頑張りました」

進化した従魔たちが、レナを新鮮な気持ちで見る。
レグルスとキサが顔を覆ってしまった。

『「主人がより魅力的に見えてしまうぅ……ッ」』

「ええっ……? 私の体質の恩恵を受けたせいなのかな?
相変わらずラナシュって適当だねぇ。
おいで」

大きな火炎獅子となったレグルスは、立ち上がるとレナの喉元ほども高さがある。
獣型のオズワルドとほとんど同じ大きさだ。
燃えるような毛並みは、触れるとふんわりとしていて、優しい温かさをレナの手に伝えてくる。
顔の周りの毛が長めなので、遠目ではタテガミのように見えるだろう。

『ほう。我々の白炎と相性がいい火炎獅子か。今後、古代の火炎獅子並みに強くなれたなら、我々が加護を授けてもいい』

カルメンの言葉がレグルスの耳を撫でていった。
レグルスはハッと息を呑んで、きりりと気持ちを引き締めた。
与えられたチャンスは生かすと、決めた。

「キサは一段と美しくなったね。身体が成長したから、服の裾直しをしなくちゃ」

「ふふふ。レナ様も妾に惚れそうか?」

「……うわ……微笑みが美麗すぎてドキッとしたよ……!?」

キサは淑女らしく柔らかい笑みを浮かべてみせる。
その表情は、レーヴェによく似ていた。

着物はレーヴェたちから贈られた大切なものだったので、レナが安易に「買い替え」と口にせず、裾直しを提案してくれたことがとても嬉しかったようだ。
優雅にお辞儀をして、レナに感謝を伝えた。

「……さて。ネオちゃん」

『イートミィー♪』

「は、話せるようになっているーー!
ルーカさんの通訳に嘘はなかったんだ。本っ当にそのまんまだった。わあ……」

背後でルーカがにこやかに親指を立ててサムズアップしている。

「ネオっ。妾がネオに名付けたいのじゃ。ねぇレナ様、いい?」

キサがレナに精一杯の流し目を使いながら誘惑する。
慌ててしまうあたり、まだ可愛さが残っていて、レナがクスリと笑う。

「いいよ。名前の候補があるの?」

「ミィ、って声を発するから、『ミ』のつく名前がよいな。
そうじゃ、料理名などどうか?」

キサが、いいアイデアを思いついた! と手を叩く。

「料理名かぁ……デリシャスクラーケンらしいかもしれないね。可愛いのにしてあげてね?」

レナが恐れおののきながらも、いったんキサに名付けを託す。
キサはネオを見つめて、うんうん唸っている。

(大切に名前を考えているんだな)

レナたちはキサに名付けを任せようと決めた。
気持ちが込もっているなら、料理名でもいいだろう。

「ーー決めたぞ! 名前は『ミディアム・レア』。ミディちゃんじゃ!」

「ほんとに!? 料理名ですらないけど!」

『ミィーーーー!』

「喜んじゃった……ッ。け、決定」

▽デリシャスクラーケンは 『ミディアム・レア』と 命名された。

▽ミディは ヒト型に変化する。

「うわわわーーっ! キラ、ミディアム・レアの真上にブランケットを出して! 急ぎで!
リリーちゃん、あの子の周囲に霧を……」

<かしこまり☆ シルクのブランケットを被せまーす>

『スキル[黒の霧]っ』

大わらわで、ミディの裸体が隠される。
漆黒の霧の上部から、ぴょこんと頭を出したのは、真っ白な肌に紫髪の美幼女だった。
きょろきょろしてレナを見つけると、青目を被虐的に輝かせる。

「イートミィーー♪ 召しませ、イカ娘! ご主人サマのために美味しく成長シタノヨーー♪」

声高に自己紹介!

「外聞が!!」

あちゃー、とレナが顔を覆った。
しかし覚悟を決めていたので、

「……責任を持って、美味しく頂きます。物理的に。
あ、あとで味見させてね、ミディ」

言ったーー!

「ウェルカム!
ミィのボディはプレミアムな食感ヨー。
齧って、啜って、飲み込んで。ねぇご主人サマ、体中でミィのことを感じてネー! イートミィ♡」

「物言いがもうちょっとなんとかならないのかなーーーー!?!?」

レナが叫ぶ。
けして、レナがこのように教育したわけではないのだ。
サディストであるレナはマゾヒストに遭遇しやすいだけである。

護衛部隊がドンッッ引きしている。

「みーーんなでミディのこと愛情持って味わうからね。安心して。晩ごはん、楽しみだよ」

レナがミディの手をとって、キメ顔で断言する。
護衛部隊を逃がすものか。こういうイベントにはみんなで挑んだ方が怖くないのだから。ドン引き辞退なんて許さない。

「聞いてないっすよロベルト隊長ぉ!? なんすかアレ!?
……その顔は知ってて巻き込みましたね! ちょっと! 横暴!!」

「あの幼女をた……喰べ……っ! 常識が悲鳴をあげているわ……さすがにきついけれど。はあ。
……まあ、こういうこともあるわよね」

「先輩ら、メンタル強すぎません!?」

「「そのうちドリューも達観する」」

護衛部隊、確保したぞ、とレナが拳を握る。

むにっ。
ーーそうだった、ミディの手をとっていたのだ。

あまりに気持ちいい感触だったので、つい、むにむにふにふにと小さな手を揉んでしまうレナ。
先輩幼児たちよりもさらに極上感触の肌だ。

「美味しそうデショゥ……?」

▽ミディが うっとりと レナを見つめている!
▽レナは 墓穴を掘った。

「齧ってドウゾー」

「さすがにヒト型の時はごめんね、勘弁してね……!」

「ヒト型はダメナノ? じゃあ」

ミディは魔物型になり、

『水魔法[ウォーターナイフ]』

スパンッとイカの足先を切り落とす。
顔を引きつらせているレナの目前に、切り身をぐいっと差し出した。
いい笑顔!!

「………………………………………………ご飯は夜! つまみ食いはなし! キラ!」

<マジックバッグに収納で御座いますね>

「ミディ、回復……は、もうしてた。イカの再生力、すごい」

『だから何度でもミィを食べてイイノヨーー♡』

大変な従魔が仲間になってしまった。

しかし、ここまで突き抜けているからこそ、レナたちもミディを食材として見ることができるのだ。

無事にクラスチェンジが終わり、小休憩。

さあ、午後からはイカ焼きの練習といこう!!

 

 

 

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