167:穏やかな朝食タイム

穏やかな寝息が聞こえている室内で、今日は誰よりも早くレナが目覚める。
ほんのささやかな声で、呟いた。

「おはよう、キラ。脳内アラームで起こしてくれてありがとう」

<お任せくださいませ! レナ様に頼っていただけるなんて、光栄で御座います。あーーん♡>

「ふふふっ」

キラの軽口に笑いながら、レナはそおっと起き上がろうとする。

▽不可能。

周辺にいる従魔たちにがっちりホールドされている。

「あっ。どうしよう……」

<オズワルドさんに協力を要請しますか>

「できれば、寝かせておいてあげたかったんだけどなぁ……。お願いしていい? 優しくしてね」

キラがオズワルドの脳内でささやかにアラームを鳴らして起こす。
ぼんやり目覚めたオズワルドに事情を説明すると、

『スキル[|重力操作(グラヴィティ)]』

オズワルドは、レナにがっしりくっついていた従魔たちを浮かせて、起き上がれるように助けてくれた。
レナが離脱すると、従魔たちをヒツジの柔らかい金毛に埋もれるように置く。

「ありがとうね、オズくん。まだもう少しおやすみ」

『……うん』

端っこの方に寝ていたオズワルドをレナが撫でてあげると、心地よさそうに目を閉じて、また眠り始めた。

ハマルの[周辺効果][快眠]の範囲にいる間は、とても眠くなるので、レナはあくびをしながらキッチンに向かう。
服飾保存ブレスレットを使って、バスローブから一瞬で旅衣装に着替えた。
エプロンをつける。

生活音をできるだけ響かせないように静かに調理を始めた。

十分な睡眠をとった従魔たちが、いい匂いにつられて、ひとりずつ起きてくる。

みんなに「騒がないようにしようね」と唇に人差し指を当てて伝えたレナは、それぞれにお手伝いを頼んで、朝食を作っていく。

既製品のパンにこんがり焼き目をつけて、切り込みを入れてハムやチーズを挟む。
シュシュとリリーが葉野菜をちぎって、カラフルなサラダを作った。

「緑魔法[|熟成(エイジング)]」

レナがスキルを使い、とろとろ熱々の熟成オニオンコンソメスープができあがる。
クーイズのスープは大きなマグカップに入れて、ネコ科従魔のぶんは舌を火傷しないようにスープを念入りに冷ました。

くんくん、と鼻を動かしながら、また数人が起きてくる。

ここで、レグルスがガバッと飛び起きて、即座にヒト型になってキッチンにやってきた。

「おはようございます、レナ様。ご指示を」

「うわっ!? おはようレグルス。
……そういう対応の従魔って久しぶりだなぁ。ねぇ、もうちょっと気楽に話していいんだよ。先輩たちもそうしてるし」

「そういうわけには。立場が違いますので」

「あーうん……じゃ、レグルス。ご主人様のお願い」

「何なりと」

レグルスが跪(ひざまず)いたので、レナがこれ幸いと手を伸ばす。
燃えるような赤い髪を、愛情を持って撫でた。柔らかくて繊細なさわり心地だ。

「朝日を浴びたからかなぁ、少し金色が混ざっているね。
へぇ、炎獅子と太陽の関係って不思議。すごく綺麗だよレグルス」

「お戯れはどうかほどほどに……! ご指示を!」

レグルスが顔面からカーーッと発熱しながら、絞り出すように言った。
ビュンと後退したかったが、上官の前でそれはできないと、長年の経験が足を止めさせてしまった。
おかげで、にこにこ顔のレナに散々撫でられた。

「お皿をテーブルに並べるのを手伝ってくれる?」

「承知いたしました」

なんだか妙な疲れ方をしてしまったレグルスは、解放されてほっとしながら、実家を思い出してレストランのように食器やカトラリーを並べる。
主従から「すごーい!」と手放しで褒められ、膝から崩れ落ちそうになった。

(なんなんだこれは……ッ、くっ、小っ恥ずかしくて壁に頭をぶつけたい……!)

<羞恥プレイというやつですね>

キラの自重を知らないアナウンスにより、顔を引きつらせているレグルスの腕を、オズワルドがポンポンと叩く。
肩を叩いてやりたいところだったが、背伸びしないと届かないので、腕で妥協した。

「大丈夫だ。そのうち染まって慣れるから」

「オズワルド……お前っ……その諦めきった目をやめろ! なんなんだ!」

「運命運命」

オズワルドが雑に対応する。

「……ところで、レナ様が言っていた”久しぶり”とはどのような意味があるか知っているか?」

「ああ。モスラが従属した時に、あんまりに丁寧な口調だったから、主さんは驚いたんだって。そのことだと思うよ」

「そうか。ではこの件は……」

(レグルス、めちゃくちゃ主さんのこと気にしてるじゃん)

こうなったら、あとはより深く沼に落ちていくだけである。
本人が知らない間にレナの愛情で深みにハマるだろうし、従魔たちが積極的に引きずり込んでいくはずだ。
オズワルドはいっそいたわりに満ちた目で、レグルスの質問に丁寧に答え続けた。
沼に引きずり込む手伝いをするのはオズワルドだって同じである。

手際よく、レナが最後のおかずを作り終える。

「やっぱり、最後まで寝てるのはハーくんとルーカさんだったねぇ。
あとキサとネオちゃんも」

無防備なそれぞれの寝顔をじーっと眺めて、レナがくすりと笑う。
クレハがレナの背からひょいと顔を出す。

「ハーくんはおねむなヒツジだし、ルーカは子猫でしょお? それにキサとネオはレベル1だから、眠くなっちゃっても仕方ないかもねー」

ネオを包んでいるイズミに「交代しよっか」と声をかけて、クレハは毒腺(どくせん)カバー係を交代した。
食事の時には交代でヒト型になろう、と話し合う。

「キサや、ネオと、同じ状態なのに……レグルス、早く目覚めて……えらかったの!」

「さすが仕事のできるオトナー」

リリーとシュシュがレグルスと手を繋ぎながら、にこにこ話す。
レナパーティへの引き込みに余念がない。

「保育所か、ここは!」

まさか、幼子の手によって自分が従魔として育てられているなんて、レグルスは気づかない方が幸せかもしれない……彼女のプライドが噴火するだろう。
オズワルドの視線がひたすら生暖かい。

「おはよう。ご飯の時間だよ。おーきーてー」

レナが、眠る従魔に優しく声をかける。

ハマルが目覚めて、ヒツジの鼻先でレナに頬ずりした。
[快眠]スキルが切られたので、眠気が和らいだキサが起きる。

「……ここ、どこぉ……?」

寝ぼけ眼で言うキサに、レナは苦笑して、また自己紹介から始めた。

「キサ。ここはシヴァガン王国の淫魔のお宿♡だよ。仮従魔としてレナパーティに加入したあなたの、今の帰宅場所」

目を丸くしたキサを怖がらせないように、レナはゆっくり手を取る。
少しの間、キサを抱きしめて、お姉さんたちから離れた寂しさを緩和してあげた。
すんすん鼻を鳴らしていたキサは、主人の抱擁で落ち着いたらしく、やっと控えめな笑顔を見せる。

「ルーカ、起きないねぇ?」

『それだけ昨日は精神的な負荷が大きかったんじゃないかなー。頑張って回復してるんだと思うよー』

「一人で頑張らなくてもいいように、私たちにできることをお手伝いしたいよね」

レナが少しいたずらな表情で、幼児たちと「にしし」と顔を見合わせた。
肩をとんとんと叩いたり、ネコミミを軽く揉んだりして、ルーカを目覚めさせる。

「……おはよう。みんな。ふあぁ…………ん! これは……」

「じゃーん。今日は藤堂シェフ特製の、ルカにゃん甘やかしメニューです。とっておきのオムレツですよ!」

黄色いオムレツが乗ったお皿が、ルーカの鼻先に登場した。
ネコミミが嬉しそうに揺れる。

「貴方を元気付けたい時には、これが一番効きますもんね?」

「……大正解。以前、絶望から救ってもらった時の思い出が蘇るからね。なんて素敵なサプライズ。うわあ、すでに幸せ気分だ」

「まだ食べていないのに、早いですよ?」

「……大切に気遣ってもらえることが、とても嬉しくてさ」

ルーカがはにかみながら言うと、にやっと笑った先輩従魔たちに、うりうりと小突かれたりまとわりつかれる。

全員で食卓に向かった。

テーブルの上の美味しそうな料理を見た寝ぼすけ組の目も輝く。

「いただきます」

レナの号令で、食事が始まる。
怒涛のトラブル続きだった昨日を忘れるような、いつも通りの光景だ。

「「いただきまーす!」」

料理に手が伸びていく。
パンをかじって幸せそうな笑顔を見せる従魔たちを、レナが微笑んで見守る。

「まさか、ここに混ざる日が来るなんて夢にも思わなかった……」

護衛部隊として、レナパーティの食事風景を観察した経験もあるレグルスが、自分自身に呆れているように呟く。
ちびちびとスープを味わいながら、ちらりと横目で隣の席を見る。気まずそうに。

「らしいぞ、ロベルト?」

「奇遇だな。レグルス。俺たちもまさか、レナパーティに混ざって手作り朝食を食べる日が来るとは思いもしなかった」

「あ。勝手に俺まで巻き込まれてらー」

全く同じことをしみじみ考えながら、パンをかじる大人が二人。
ロベルトとクドライヤだ。
なんと、職務中にもかかわらずのんびりと席を共にしている。

「お、お疲れ様です……」

「「まあ、いろいろとあったな」」

語る二人の目の下にはクマができている。
魔王の自慢話に夜通し付き合って、一睡もしていないのだ。

レグルスに早急に知らせるべき用事があるからと、休まずに早朝にお宿♡を訪れたのだが、赤の運命に捕まってしまった。

「ゆっくり過ごして下さいねー。
ロベルトさんとクドライヤさんも、昨日はお疲れ様でした。これからも私たちの護衛をよろしくお願いします。
皆さんが引き続き見守ってくれるなんて、心強いです」

レナの言葉に、大人二人は苦笑する。

「仕事だからな」

「そう、仕事。きっちり守りますよ。お任せ下さいませ皆様」

『手を抜くでないぞ? 完璧に成し遂げてみせよ』

「「聖霊様の仰せのままに!」」

ここぞと飛び出してきた聖霊カルメンを見て、ロベルトとクドライヤは冷や汗をかきながら定型句を返答する。

そう、二人は朝食タイムの直前に現れて緊急連絡をしようとしたのだが、「食事が冷めちゃう」と悲しそうなレナを見て不機嫌になった聖霊の『後にせよ』という言葉に頷かざるをえなかったのだ。
聖霊の機嫌を損ねるな、と政府から厳重に言い渡されている。

((柔軟な対応も職務のうち))

なんとか自分を納得させて、レナパーティを引き続き護衛する、というところだけ伝えた。

そしてレナの「たくさんご飯を作ってますからご一緒に」という言葉に甘えたのだ。
これを断るときっと聖霊が怒る、と部屋に立ち込めた熱気で察したのである。

なお「暑いよ!」とカルメンがレナに叱られていた。
聖霊を叱りとばすレナ様に、護衛部隊の二人は震え上がった……カルメンはまるで堪えた様子がなく笑っていたが。

「ごちそうさまでした」

手をあわせて、食事が終わる。
それぞれの前に紅茶が置かれた。

映像でにこにこと座っているキラの前の皿だけ、ご飯が残っている。
食事終了の挨拶を聞いてから、マジックバッグの中に皿ごと収納してしまい、今は一切食べていない。

「キラも一緒に食べられたら良かったんだけどね……。実体化するための経験値がないんだっけ?」

「「また一緒に食事しよーね! キラ先輩ー」」

レナが寂しそうに言って、後輩に慰められたキラは、ハンカチで目尻を押さえる映像を映した。
(芸が細かいな)と護衛部隊が感心する。

「ラミアの里の戦闘で、経験値がたくさん手に入ったはずなんだけどねぇ。キラ? 何か内緒にしてない?」

レナがじいっと探る笑顔でキラを見る。
てへへ、と誤魔化し笑いされた。

「ルーカさん。[感覚共有]しましょう」

「キラの内心を魔眼で覗いちゃうんだね。ご主人様容赦ない」

<きゃー! マスターのえっちー! もちろん話しますよぅ。ちょっと戯れただけですぅ>

キラがくねくね身をよじる。

<諸事情で、今回は経験値を取得できなかったので御座います。奪われてしまった、といいましょうか……>

「どういうこと?」

レナの目がギラリと光る。
従魔が不利な目にあったら、ご主人様は怒るのだ。

その愛情に対して、これから自分が告げる内容を申し訳なく思いながらも、魔眼で全て視られてはたまらないので、キラは進んで説明した。

<皆さん。私が扱う光魔法[|祝福の鐘(ベネディクション・ベル)]の魔法効果は覚えていらっしゃいますか?>

「? うん」

<新人従魔たちと、そちらで可愛くてへぺろしているリリーさんのためにもう一度説明しましょうか。
護衛部隊のお二人も聞いていてかまいませんよ>

もうすでに宰相が知っている情報なので、政府に持ち帰られても問題ない。
レア能力の公開と聞いて真剣な表情になったロベルトとクドライヤに対して、キラは内心でちらりと舌を出した。

<”ラナシュ世界が保留にしているまだ未実装の称号を授与する。デタラメな称号を与えようとした場合はペナルティがある。”
はい、いいですね?>

「はーい!」

先輩たちが元気に返事をする中、

「よくない。なんだそのとんでもない技能はッ!?」

レグルスがキラに詰め寄る。

「そんなもん数え始めたらキリがないぞ、諦めろレグルス」

オズワルドがたしなめた。

「はいレグルス回収〜。話の続きをお願いします」

クドライヤがゴーストローズのツタを操って、レグルスを絡め取り席に着かせる。
レナと聖霊への好感度を気にして「優しさには自信があるので! 棘は食い込ませていないですよ!」と補足説明しておいた。
仲間とはいえ、これからは、従魔でもあるレグルスの扱いに注意しなければならない。
レナパーティは身内に過保護なのだ。

<……私はあの鍾乳洞で、内緒でこっそりと[|祝福の鐘(ベネディクション・ベル)]を使用していたのです。従属仲間に伝わらないように、脳内音声をオフにして。
世界基準候補だった称号に手を加えて、オリジナルにしてしまったので、ペナルティとして経験値を失くしました>

ため息まじりにしょんぼりと告げるキラの言葉に、全員が驚く。

「……どうして、そうしたの?」

レナが聞く。
キラの行動は、事情を知らないレナたちにはあまりに不可解だった。

キラが室内照明を朱色にする。なぜ。
パンドラミミックの装飾がキランと光る。

(なんだろう。すごく嫌な予感がする)

レナがお察しの通りだ。即座に精神ダメージを受ける覚悟を決めたのはいい判断だった。

<私が与えた称号は、朱印の”守護者”=バーミリオン・サーヴァントで御座います!>

「「ごふぉっ」」

ロベルトとクドライヤが盛大にむせる。
レナパーティがそれぞれ顔を覆ったり、机に突っ伏したりした。

<サディスティック仮面さんの魂に、称号を刻みつけました☆ えへっ。
レナパーティの支援者として有能な彼を逃がしてたまるものですか。
従者、と世界認識そのままに名付けてしまうと、彼の日常生活に支障をきたしそうなので、無理やり称号をいじったのです。
ペナルティに対して悔いはありませんとも!>

「圧倒的にキラの自業自得!!」

後始末のことを考えたレナが思わず叫んだ。
レグルスが顔を白くしてガクガクと震え始める。

((わりとすぐ会いそうなサディス宰相は、絶ッッッ対に機嫌が悪いにきまってる!
いやサディス宰相はこの事案とは関係ないけど!
ええいややこしい))

レナとレグルスが心の中で悲鳴をあげるが、大丈夫だ、もうトリックルーム内で話はついている。
……より後々の精神負荷が大きそうな気はするが。

「あー。シヴァガン王宮ですでに噂になってましたよー……宰相の称号」

「サディスティック仮面と宰相はこれっぽっちも関係ないですが、偶然にも同じ称号を取得していましたね。全く関係ないですが。そうだなクドライヤ?」

「ロベルト隊長さすがです! その通り!」

ドッと冷や汗をかきながら、クドライヤが言い訳に乗っかる。

(((ややこしいな)))

全員が、げんなりと眉尻を下げた。

「……キラ。やっちゃったものはしょうがない。
私たちが最終的に過ごしやすくなるように、気遣ってくれたんだよね? ありがとう」

レナがパンドラミミックを手のひらで包んで、声をかけた。

<もったいないお言葉で御座います>

キラがレナパーティを大切にしている、と信じて、意図を拾い上げてくれたレナに、キラは映像で柔らかな笑顔をみせる。
主人がこれだから、尽くしたくなるのだ。

「えっと、じゃあ今日は取り急ぎレグルス・キサ・ネオちゃんの集中レベリングをするから、キラも一緒に経験値取得を頑張ろうか。
そして夜は一緒にご飯を食べようね」

<わぁい! わぁい!>

「イカの味見です」

((……イカ……))

ロベルトとクドライヤが(ほんとに?)というような表情で、クレハの体内でたゆたうクラーケンを眺めた。

「夕飯も一緒に食べましょうね! ロベルトさん、クドライヤさん」

どちらにせよ監視されているなら、遠方でドン引きされているよりも、一緒にネオを食べる罪悪感を共有してもらおう。
レナがグイグイと誘う。
大人たちはとても逃げたそうな顔をしている。

「「……護衛業務中ですのでお断」」

『レナの申し出、受け取るだろう?』

「「喜んで!!」」

カルメンの鶴の一声に、ロベルトとクドライヤがきびきびと返事をした。
レナたちが(なんだか妙だな?)と目を丸くする。

「(ルーカさん)」

「(あー……あとで彼らから重大発表があるよ。うわ、すごっ。まあ、僕らにとって悪い知らせではないから、話してくれるのを待とうか)」

それなら気にし過ぎないでおこう、とレナが頷く。
自分たちにとって都合がいい流れとなったので、今回はカルメンのサポートにお礼を言った。
楽しげにニヤリと笑い返される。

「予定確認に戻ろう。大急ぎでレベリングしないとね。
レグルスとキサ、ネオちゃんは一気にレベル10くらいを目指そう。
モスラの時と同じく、それくらいレベルアップしたらネオちゃんも進化しそう?」

レナはルーカの頷きを確認する。

「決まりですね。
ロベルトさん、あとで高レベルの訓練場に連れて行ってもらえますか?」

「案内するのは構いません。……しかし、レベル1の魔人族を戦わせるには向かない場所です。
レナ様はそのような無茶をさせないと認識していますが。
どのように戦闘するのですか?」

「巨大化したハーくんに三人を乗せて、無双戦闘します。
一気に経験値入るし、安全に強くなれますよ」

「合理的だが……えげつないな……!」

ロベルトが引いている。

「外出して魔物を狩ったほうが得られる経験値は多いですけど、またトラブルに巻き込まれたらたまりませんからね。
安全に、穏やかに、平穏に、です!
……なんですかロベルトさん、その胡乱(うろん)な目は」

「いえいえ。苦労していらっしゃるなぁと思いまして」

「それはもう! でも苦労を共にしてくださる護衛部隊の皆様がいれば百人力ですね!!」

「……逞(たくま)しくなりましたね」

「おかげさまで」

レナを気の毒そうに見てしまい、言葉でガツンと報復をくらったロベルトが額を押さえた。

「ーー”護衛部隊”の件ですが。お話があります」

「? ……はい。えっ、これまでのように見守ってくれるんですよね?」

「そこは保証します。
加えて、レグルスの所属にも関係する話です」

「「!」」

レナとレグルスがごくりと喉を鳴らす。
レナパーティの雑談が終わったので、次は護衛部隊の事情説明である。
昨日、王宮で話し合われたことの連絡があるはずだ。

(……所属について、レグルスはどのように判断するんだろうな?)

まるでレグルスを守ろうとするように、力強い視線で見つめてくるレナを、ロベルトとクドライヤは苦笑しながら見つめ返した。

▽Next! レグルスの選択

 

 

 

 

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