161:魔王国への帰還

倒れたレナは、超巨大化したハマルによって丁寧に丁寧に丁寧に運ばれた。
ラミアの里の外で待機していたエメラルドドラゴンの騎乗籠にも、ヒツジのまま入り込んで、大人たちに苦笑されたくらいだ。
そして籠の端に追いやられながらも、金色羊毛の極上感触をついでに味わうことになった護衛部隊は、あまりの心地よさに必死で眠気を耐えたのだった。

「キサ……またね。どうか元気で」

「レ、レーヴェ……。妾は、王都に行ってくるのじゃ」

「レナ様たちと一緒やから心配はしてへんけど、王都は魔人族たちがいっぱいやから歩く時にぶつかったり、はぐれないように気をつけるんよ。
レベルが下がったんやから、無茶はしやんように。特訓を頑張ってね。
あとそれから、それから……! また、ね」

「うんっ。必ずまた会いにくるぅぅ……!」

キサとレーヴェが泣き笑いの顔を見合わせる。
ルーカがそっと一言添えた。

「キサさんのレベルが戻った頃には、また里帰りを考えていますので。連絡もしますね。レナもそれを望むと思います」

レーヴェがとてもほっとした顔になる。

「またうちらもキサに会いに行くわ。いつまでもラミアたちの宝物やからね」

「「……またね!」」

とても寂しそうな、しかし再会を楽しみにしている希望がにじんだ挨拶だった。

別れを惜しみながら、キサもドラゴンの背の籠に乗る。

『さあ、王都に帰るぞ。しっかり掴まっていてくれよ』

エメラルドドラゴンが力強く羽ばたいて、上昇していく。
キサたちを思いやってか、里が見えるうちは少しゆっくりと飛んだ。

小さくなっていく里を見下ろしながら、キサはぶんぶんと大きく手を振る。
上空用の保温ローブがはだけて、着物のようなラミアの伝統衣装がひじまでずり落ちてきてしまったが、構わずに。
クレハが「身体が冷えちゃうよ」と心配して、自分の身体をゆたんぽにしてキサに抱きつく。キサを思いやって、止めることはしなかった。

それを見て、ラミアのお姉さんたちはくすくす笑う。

「……まあ。ふふっ、はしたないって注意しなきゃいかんのにね。
嬉しくて、よう言われへんわ……」

レーヴェたちも「今だけだから」と自分に言い訳して、キサのように限界まで腕を上げて空に手を振った。

ーーキサが”大好き!”と叫んだ声が風に乗って耳に触れた気がした。

***

ラミアの里にずいぶんと長居していたため、エメラルドドラゴンが王都の近くの平原に降り立った頃には、もう辺りは薄暗くなっている。
疲れているとはいえプロフェッショナルが揃っているので、素早く平原を突破した。

シヴァガン王国に入ると、今後の各自の動き方について、ロベルトが簡潔に告げる。
ルーカがさりげなくサンクチュアリを展開した。

「俺とクドライヤはこれから政府への報告に向かう。
緊急で伝えるべき事態が山積みだからな……。
ラミアの里で起こった事件について、夢魔の一団の情報、聖霊様の復活、キサ姫とレグルスの仮従属も……知ったことは、すべて報告するつもりだ。
そうでなければ対策ができない。
今後、レナ様たちができるだけ穏やかにすごせるように政府には相談してみる。
……問題ないか?」

ロベルトがレナパーティにお伺いをたてる。
聖霊まで味方についたレナパーティの扱いはいっそう慎重にしなければならない。

「構いません。ご配慮ありがとうございます」

眠っているレナに代わって、ルーカが代表で答えた。
ロベルトが頷く。

「ギルド長は我々と一緒に王宮に向かい、説明を聞いて頂けますか?」

「ああ、承知した。ラミアの里の外で待機している時に、鍾乳洞の方からなにやらおかしな爆音を遠聞きして気になっていたんだ。
説明してくれるなら助かる。
今、諜報部が口にした爆弾発言が全部起こってたって言うんなら……それは、またとんでもないな?
おそらく冒険者ギルドでも対応が必要な事態なんだろう。
協力体制をとる」

「ありがとうございます。王宮で話しましょう。
……リーカはすみやかに帰宅して疲労回復に努めること!
明日、詳しい報告に付き合ってくれ」

「はい」

リーカは護衛部隊の記録の役割を果たしているので、本来ならば、報告の際には同行する義務がある。
しかし怪我を負っている場合、隊長が休養決定をすることも可能なのだ。

「ドリュー。……まあ、そう緊張するな。先輩のリーカをしっかり家まで送り届けてくれ。できるな?」

「本当にご配慮感謝いたします!! 完璧に努めてみせます!」

もしかしたら一緒に叱られに行かなくてはいけない? と恐れていたドリューがきっぱりと元気にお礼を言い、腰を九十度に曲げた。
先輩たちの笑いを誘う。

「レグルス」

呼ばれたレグルスはごくりと生唾を飲み込み、ロベルトをまっすぐ見る。

「引き続きレナパーティの護衛をすること。
お前の処分はまだ政府で話し合われていない。よって護衛任務を継続してもらう。
淫魔のお宿♡まで、気を抜かずにレナパーティを守り通せ。
そのあとはお宿♡でさらに護衛の継続だ。
一人でもきちんと任務をこなせると信用している。
頼んだぞ」

「……承知いたしましたっ!」

いろんな思いがこみ上げてきて、レグルスはぐっと唇を引き結ぶと、完璧な動作でシヴァガン王国流の敬礼をした。
ロベルトが眩しそうに若者を眺めて、眼を細める。

「レナパーティの皆さん、今日は本当にお疲れ様でした。
また話し合いの結果報告にこちらからうかがいます」

「よろしくお願いします。ロベルトさんたちもできるだけ休んで下さいね、お疲れ様でした。
じゃ、僕たちはこれで!」

「『おやすみー!』」

従魔たちは元気よく挨拶すると、驚くべき速さで夜道を駆けていく。
レグルスがあわてて横に並んだ。

……あっけにとられながら、護衛部隊は従魔たちの後ろ姿を見送る。

「……なんとも素直で微笑ましいですねぇ。
ご主人様のことが心配でしょうがないんだろうな」

「早くちゃんと休ませてあげたい、ってずっと言ってたもんね」

彼女たちのこれからに幸あれ、とみんなが願った。
あたぼうよ! と幸運がガッツポーズしている気がするだろう? その通り。

レナパーティにはたくさんの試練が訪れるだろうが、頑張り屋の主従はそれらを乗り越えて、きっと幸せな人生を過ごすだろう。

***

ふわふわ、柔らかな感触に包まれて、幸福な気持ちでレナが目を覚ます。
従魔たちの輝くような笑顔が視界に飛び込んできた。
最高に幸せーー!!

『『わあ! みんなぁー、レナが目を覚ましたよっ』』

クーイズが後輩たちに呼びかける。
すぐそばにいたシュシュとリリーは、レナにぎゅうっと抱きついた。

従魔たちがあわてて集合する。
全員がレナに乗っかるわけにはいかないので、レナの前に並んでにこにこと嬉しそうに笑った。

「『おはよう、ご主人様!』」

「……おはよう。みんなぁ」

レナが目を潤ませて、全員を見渡す。

(あんな事件があったけど、誰かが大怪我をすることがなくて、本当に良かった……!)

「……ぐすっ。……あれっ、ここ、もうお宿♡だね? そういえば。運んでくれたんだ」

『『そうよ〜♡ レナの寝ぼすけさんっ』』

クーイズが合体して、スライムボディで淫魔ネレネ(紫)の姿に変身してみせる。
しなりを作りながら言って、セクシーに投げキッス。

「なにその新技能!? 前はスライムボディでそこまで繊細な動作はできなかったのにね。
仕草がネレネさんそっくりだぁ」

『スキル[幻覚]えーいっ! さあ、これで……完璧♡』

リリーの力で、スライムネレネはまるで本物のような色合いになる。
レナが感心していると、スライムネレネはとても自然に歩いて、テーブルからアイスハーブティを持ってきた。

『『疲労回復によく効くのよ、って。本物のネレネさんからの差し入れだよーん』』

「そうなんだ。ありがとう」

レナがゆっくり飲み干すと、口の中に爽やかな味が広がって、活力が湧いてくる。

「……エリクサーが入ってるんだね?」

<特濃粗茶ですわ♡>

キラがネレネの声をスピーカーから流してみせた。
従魔たちにあれもこれもと世話を焼かれて、至れり尽くせりの贅沢な時間をレナは大切に味わう。

「スライム変身とリリーちゃんの[幻覚]、キラの声真似を合わせたら、誰にだって擬態できちゃいそうだよね。
な、なんかみんな一段と成長してる?
……あんな戦闘があったばかりだもんね……。遅くなったけど、本当によく頑張ってくれたよ。お疲れ様。おいで!」

レナが優しく微笑んで、両手を広げる。
全員がこの時を待っていたッ!!

『ごっしゅじっん様ぁーーー!!』

従魔たちが魔物型になって、レナの胸に飛び込んでいく。
疲労したレナにダメージを与えてしまわないよう、スピードは加減している。

クーイズがレナの肩に乗って両頬をぷにぷに押して、オズワルドが太ももにぽすんと獣の頭を乗せる。レナの手に金色子猫が頬ずりした。キラはレナの頭に乗っている。ハマルが大きな頭をすり寄せて、リリーとシュシュがころころ笑った。

レナは従魔たちをめいっぱい愛でる。
毛並みを撫でたり、スリスリしたり、優しい言葉をかけたり。
たった1日これができなかっただけなのだが、ラミアの里で過ごした時間が濃すぎて、随分と久しぶりに感じている。
主人として精一杯、従魔たちを褒めた。

「……魔物使いとして、理想的な主従関係を築いている光景、なんだろうな」

「うぐぐ、妾もあの中に加わりたい……レナ様に抱きつきたいぃ……」

キサがハンカチを噛み締めて羨ましがっている。
先ほどまでラミアたちとの別れを思い出してベソをかいていたのだが、立ち直りが早い。

さっそく主張してくる自分の従属衝動に、レグルスは尻尾を荒ぶらせながら耐える。

(全部、従魔仮契約魔法のせいだッ!!)

間違いではない。きっかけはそこであり、レナを認めたのはどう足掻いてもレグルス自身である。
はははははは!

「レナ様ー! 妾もその輪に入れてほしいのじゃ」

従属衝動に負けたキサがストレートに要望を伝えると、レナはニコッと笑った。

「おいで!」

「わーいっ」

『では遠慮なく』

「カルメンー!? うわっ部屋の中が急に熱くなったから、ちょっと登場の熱気を抑えてくれるかな!?」

『我々はまた叱られてしまったのか。仕方ないな。友達の頼みとあらば受け入れよう』

なぜか嬉しそうなカルメンが、白炎聖霊杯(カンテラ)に戻る。

そこまで戻れって言ったわけじゃないんだけど……と思いながら、レナは頑張ってカルメンをスルーする。

まさかカルメンが”叱られたがり”タイプのマゾヒストに目覚めかけている可能性など、考えたくもないのである。
ちなみにこれが放置プレイになっているなどレナは知るよしもなかったのだった。
崇められてチヤホヤされるのが当然だったカルメンは、古代と現在の扱われ方のギャップを、ゾクゾクしながら楽しんでいる。

キサを愛でることに集中しよう!!
先輩たちがスペースを空けてあげると、キサはレナの膝の上にちょこんと座って、ウフフと照れ笑いした。

(可愛い!)

ラミアの尾をヒト族の足に変えたキサは、レナでもすっぽり抱え込めるくらい小柄である。
いたずら心を出してレナがキサを抱きしめてみた。
先ほど仮従魔が「抱きつきたい」と言っていたのを過保護ご主人様が聞き逃すはずがなかった。

あわてたキサを見てレナが楽しそうに言う。

「これからよろしくね、キサ姫。あっ、キサちゃんって呼んでもいいかな?」

「? レナ様はどうして今さら妾にそのようなお伺いをたてているのじゃ?
鍾乳洞では『私のキサ!』ととっくに呼びすてにしておったではないか」

「うっ!」

仮従魔の純粋な視線がレナにざくざく突き刺さる。

「……それはね……」

レナが新入りの二人に、女王様状態について説明する。
二人は目を丸くして静かに話を聞いた。
半獣人の訓練の時に、レナ女王様を垣間見ていたレグルスも、詳細に説明されてやっと腑に落ちたようだった。

(あ。目を丸くしてるとレグルスさんのまつ毛が長いのがよく分かるな……綺麗な目。さすが私の従魔)

レナが思わず観察してしまうと、目があったレグルスは顔を赤くしてそっぽを向いた。

「称号[お姉様]の効果で、レナ様が言おうとした言葉はすべて高飛車に変換されてしまう、と?」

「そうだよ……」

キサが繰り返したので、レナはなんだか恥ずかしそうにしている。

「あの凛々しい物言いはとてもカッコ良かったのじゃ! もう一回やって! レナ様ー!」

まさかの赤歴史アンコール! ヒューー!
キサのノリが良すぎて可愛くてレナはとても困っている。

『はいはーい、レナ様へのリクエストは今はやめてあげようねー、後輩よー。
疲れてるから後でねー』

<こちらリクエスト・ボックスです。音声入力でどうぞ!>

そして旅路をともにしてきた先輩従魔たちのノリの良さをみてくれ。さらにすごい。

ハマルの言葉を受けて、キラが流れるように電子ウィンドウを展開し、今溜まっているレナへのリクエスト内容一覧を表示した。

<レナ女王様にお願いしたいことリスト♡>
・一緒にダンス
・たのしく鞭打ち
・絵本の読み聞かせして
などなど……

一覧表示を読んだルーカが笑い転がっている。
レナはヤケクソで、まずは<大好きって言って!>のファンサービスをした。

「従魔のみんなぁーー! 大好きーーッ!」

「『きゃあーー! ご主人様ーー! 従えてぇーー!』」

一室が大騒ぎになる。
このノリに今後馴染んでいかなくてはいけなくなったレグルスは、正座姿勢のまま、おもわず床を殴った。

早速馴染んでいるキサの呼び方は「凛々しく、キサって呼び捨てにされたいのじゃ」だそうなので、レナは本人の意向に従うことにした。

「いい香りがする……香油か? 練り香水か?」

キサはレナのバスローブの匂いを嗅ぐ。
ずっとラミアの里にいたキサにとっては、目にするもの全てが真新しくて興味を惹かれるらしい。

『シュシュ先輩が教えてあげるっ。
あのね、これはお花とハーブの香りのスライムジェルでバスローブを洗濯してるからなの。
あとご主人様特有のにおいのハーモニー』

▽ご主人様マニアの シュシュの 回答。
▽レグルスへの メンタルダメージ ドォン!!

もう一度言う。このノリに彼女は今後馴染んで行かなくてはならない。

「そういえば、私のこと着替えさせてくれたんだね? ありがとう」

レナが女の子たちにお礼を言う。
きっと赤の女王様装備のままだったら寝苦しかろうと、女の子たちがレナを着替えさせてくれたらしい。

『うんっ。あの衣装を、脱がせるの、難しかったけど、頑張ったの! えへん!
私……手先は器用なのだよっ』

『『クーとイズがミストシャワーで軽く汗を流しておいたよ〜』』

「その……あの……レナ様のランジェリーは、とても可愛らしくまた過激で驚いたのじゃ。
王都ではあのような下着が流行っているのじゃな。
知らないことがいっぱいで楽しいぞ!」

「知らないで、キサーーッ!?
うわ、レーヴェさんに叱られる。これは確実にお説教されちゃう……!
あのね、キサ。あれは、その、普通じゃないの」

「レナ様は普通じゃないランジェリーを身につけている?」

キサの純粋な疑問がレナの心にざくざく刺さる。

「ウッ! 乙女ヲ彩ル赤キランジェリーっていう祝福装備なんだよ……元は、淫魔のお姉さんにもらった特別下着だけど……魔法装備としてとても性能がいいんだ。だから、致し方なく装着してるの!」

申し訳なさそうに言い訳するレナの肩を、ぽんぽんっと慰めるようにキサが叩く。

「大丈夫じゃ。成長はこれからじゃ、レナ様!」

(どこの? 何の?)

レナが虚ろな目になる……。
ラミア族はお互いの裸体をチェックして美しさを磨く習性があるため、しっかり全身見られたレナは犠牲になったのだ。

会話の流れからなんとなく内容を察したレグルスは、レナを追撃せず、聞かなかったフリをしてくれた。

(バストは邪魔だからサラシを巻いて過ごしている、なんて俺が言ったら、美しい体型維持にこだわるラミア族と、体格にコンプレックスがあるらしい彼女には嫌がられるだろう。
黙っておこう)

戦闘がからまなければ、レグルスはそれなりに気配りができるらしい。
夢魔の影響からも解放されたため、人格が少し穏やかになっている。

ルーカが猫の毛並みを逆立てながら、紫眼を瞬かせて(レグルスさんはいい意味で大人だね)とキラとアイコンタクトをとった。

「あたらめて。レグルスさん、キサ、これからよろしくね」

レナが新たな従魔たちに挨拶する。
おもに先輩が二人の面倒をみるとは言っても、絆を結んでいるのはレナだ。
大切にしたいのである。

キサが照れたように微笑んだ。

「うんっ。レベルアップの修行を頑張るのじゃ。
努力するから、妾を鍛えてほしい」

「もちろん」

レナとキサが握手した。

レグルスが片膝立ちになり、軽く頭を下げてレナに敬意を示す姿勢をとる。

「呼び方はレグルスでいい。ひとまず仮契約の間はレナ様を主人とするつもりでいる。
同じく、今後のトレーニングには全力で励む。
……仮従魔として、よろしく頼む」

「そ、そう。レグルス。うん、レグルス。よろしくね」

「そう何度も繰り返して呼ばなくてもいいっ……!」

レナが嬉しそうに名前を連呼すると、レグルスは歯を食いしばりながら赤面した。
余波を受けてなんとなく心がむず痒くなったオズワルドは、ふて寝するようにハマルの金毛に埋もれて、『ちょっとー乱暴ー』と抗議を受けた。

(これ、仮契約魔法の効果が効きすぎていませんか? ルーカさん)

(ほら、二人ともレベル1の弱い状態だからね。魔物の本能で、自分を絶対守ってくれる相手には凄まじい好感を持つんだよ。
僕たちのコミュニティはレナがボスだから、熱愛って感じ。
まあそれでなくても、レナは尊敬されるべき立派な女王様だって言っておくけどね)

(最後の一言にやたら照れさせられると思ったら、女王様って締めてきましたね! この宣教師!)

(ごもっとも)

レナが金色子猫をうりうりとつつく。
荒ぶる心を落ち着かせるために、深呼吸して、とっておきの笑顔を見せた。

「主人と従魔9人、仮従魔2人で、これからまた頑張っていこうね!
まずは今夜は主従のふれあいタイムにしよう! 私、癒されたい!
明日以降は、ラミアの里の出来事の後始末に対応しつつ、急いでキサとレグルスのレベリングかな。
無理やり弱体化させられた今の状態だと、狙われたら危険だからね。
以前強かった状態を身体が覚えているだろうから、無茶をしないように気をつけて。ねっ」

「ロベルト隊長からレナパーティの護衛を任されている」

レグルスがぴくりと眉を上げながら、抗議する。

「レグルスもすでにレナパーティなわけだから傷付かないようにね?」

「うっ」

レグルスは気まずそうに眉をしかめた。
レナがフォローの方法を考える。

「レグルスは気配察知能力がとても優れているってロベルトさんに聞いたから、万が一不審なことがあれば教えてほしい。
期待しています。
あとは、この部屋全体をルーカさんがサンクチュアリで囲ってくれるから、明日の朝ロベルトさんたちが来るまで絶対に大丈夫だよぉ。
お宿♡はネレネさんが守っているし。
……ラミアの里であんなにいっぱいトラブルに巻き込まれた後だもん、あとは祝福が待ってるだけって信じてる!」

「『いえーーーい!』」

従魔たちがぴょんぴょん飛び跳ねて、ハイタッチする。
交ざってこないレグルスに、レナが手を差し出した。

レグルスは悩ましげなため息を吐きながら……恭しく手をとる。

「炎獅子一族の誓い方です。お守りいたします」

レナの手が、レグルスの額に当てられる。
額の熱は、彼女の種族特有のもの。
昼間吸収した太陽光を映して、レグルスの髪が鮮やかに赤くかがやいた。

「とても綺麗!」

レナの感想に照れたレグルスは、手を離して素早く一礼した。

「お腹が空いたね。夕飯の時間だもんね……」

レナの発言にみんなが目を見合わせて、なぜかルーカがヒト型になる。

「そこで相談なんですがご主人様? このリトル・クラーケン・ネオ、どう料理しようか?」

テーブルの影から、ずるりとサンクチュアリに包まれたイカを持ち出してきた。

「えっ。ネオ?」

「さすがレナ、トラブル慣れしてる。そこを聞き取るなんてしっかりしてるよ、えらい!」

「……クラーケンストーンがずっと私の所有物だったから……?」

「『だよね』」

「うわあああ! でも赤の魔道具じゃなかったのに」

「このクラーケン、珍しいことに赤魔法適性を持ってたんだ。
だからカルメンの目覚めと共に急激に覚醒した」

『ふふふ、我々を呼んだようだな! そしてこれからよろしくと言う時には聖霊の友達もカウントするべきだぞ、レナ!』

▽カルメンが 現れた!

「あーーーもーーー!」

▽どうなる? リトル・クラーケン・ネオ!
▽Next! お宿♡癒しタイムはもう少し続くよ!

 

 

 

 

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