160:レナパーティへの報酬

『きっとレナが欲しいもの。どのような対価にしようか?
いや……片割れを助けてくれるならば、生命でいう「命の恩人」というやつだろう。
思いつく限り、全部捧げてしまおう』

(ほげーーーっっっ!?)

この場にいる全員が必死で絶叫をこらえている。
聖霊の影響はきっと世界を変える、記録せねば、と気合を入れていたリーカの額の第三の目は白目を剥いてしまった。

<聖霊カルメンの全部をあ・げ・る♡ ですってマスター! さっすが! やったね!>

(余裕が過ぎるよキラッ!? ……お願い……ここでのおふざけは勘弁して……ッ)

レナパーティ全員の脳内にキラの声がアナウンスされたので、真っ先にルーカが顔を覆う。

(そうだよキラー! あのね、驚きとルーカさんの笑いの衝動のコラボが、腹筋に、きついから……っ。もーーー!)

レナがぷるぷる震えながら、そっと自分のお腹を押さえた。
笑い上戸の共有はこんなときに困りものだ。

『まずは正式な白炎の加護を』

まず、と来た。
カルメンがオズワルドを指差すと、オズワルドの身体が急激に熱くなる。
ゾクゾクと尻尾の毛を逆だたせて、内側から溢れてくる熱に耐えている。
ついに、髪と尻尾の半分が、純白に染まってしまった。

「スキル[氷点下]……」

猛烈な熱気による全員の体調不良を察したロベルトが、とっさに空間を冷やして対応する。
熱気とスキルが相殺されて、快適な温度となった。

オズワルドを見るカルメンの目は満足げに弧を描く。

『ん。まだ幼いのによく耐えられるものだ。良い魔物だな、レナ。
まずはこの者を重点的に鍛えるとよい。
完全に白炎を操れるように教育していこう。
協力を約束する。
……赤魔法適性のある他の従魔は、もう一段階クラスチェンジしたなら、白炎を扱えるようになるかもしれぬな。
レナ、できるだろう?』

「……従魔が望むなら。私は主人として全力で力を貸すわ」

レナが少し振り返り、背後にいるカルメンを見上げる。
オズワルドの不調を見ているので、ジト目である。

『ふふふっ!
そうか。
それでは、レナが従えた魔物たちはいずれ強大な力を得るであろう。
我々、白炎聖霊杯(カンテラ)の聖霊が保証しよう』

「ありがとうカルメン。
……それじゃ、早くオズワルドへの干渉を軽減してくれないかしら?
あの子は私の従魔なのよ。
いくら友達でも、好きなようにされたくないわ。大切なの」

『承知した』

カルメンが指を振ると、オズワルドはようやく身体が楽になり、ほーーっと息を吐いた。
まだ毛色は半分白いままだが、だんだんと元の色に戻っていく。

白炎強化従魔として先ほど指名されたレグルスとクレハは、それぞれ、頭を悩ませている。

(……白炎を、俺が扱えるようになる? クラスチェンジして?
雌の炎獅子にそこまでの特別な力が与えられるというのか? 本当に……?
ーー……強くなれる可能性があるなら、俺は、たとえ生活環境が変わっても、引き続き戦闘努力をするまでのことだ。
今までよりも、もっと、もっと。
自分のためにも……ロベルト隊長の決断に報いるためにも。
義理は、果たさなければならない。
それが恩であり、さらに自分のためにもなるなら……こんなに恵まれた運命はないだろう)

レグルスは吹っ切れたらしい。
……もちろん仮従属についてまだ混乱しているし、全てを受け入れられたわけじゃない。
悶々とした感情は胸の中でくすぶっているし、政府での立場を失った今後について考えると不安で仕方ないが、ロベルトが自らの一生をかけてレグルスを助けようとした……という誠意が、彼女に前向きな決断をさせた。

クレハはどう反応すべきか悩んでいる。

(うーーん。白炎かぁ。
あれ、オズは耐えられてるけど、クーにとってはマジであっついんだよねー。
実はスライムと相性悪いんじゃないかなー?
だってぇレナの従魔で赤魔法に適性があって、[全状態異常耐性]のギフトも持ってるのに、毎回スライムボディが溶けそうなんだもーん。
ちょっと困るかも……?
ジュエルスライムの、レナパーティの資金源っていう今の役割に不満もないしー。みんなと力を合わせたら、このまま成長していったってパーティとして強いはずだしー。
うーん、うーん?)

うりゃっ、とイズミがクレハに覆いかぶさった。
ぱちくり、と二人でアイコンタクトを取る。

(イズと合体したら、クーイズ一個体でもーっと強いもんねー!
なんでもドロドロに溶かしちゃうぞーっ)

(そーなんだよねー?
だから、白炎の修行ってそんなに気が進まないっていうかー)

((我らは二人で一つ! あっ、これって双子のカルメン様たちみたいなんじゃない? ……なんか面白〜い♪))

テンションが上がったクーイズは、人型になり、なんとその場でフォークダンスを踊り始めた。
これには全員がポカンとする。

『……なにゆえ、踊る? スライムの双子よ』

「「えー? だってぇ、敵襲がいったん収束したし、カルメン様がこれから全力でレナパーティをサポートしてくれるんでしょー? もう、お祭りじゃん!
踊ろうよ!」」

クーイズがカルメンを囲んでくるくる周囲を駆ける。
つまりレナも輪の中に巻き込まれている。

((このまま、お祭り気分に流されてクーの白炎の加護のこと忘れてくれないかなー?))

……ちょっぴり、下心もある。

『お祭り騒ぎは大好きだ。と、確かに先程言ったな?』

カルメンはにやりと笑うと、するっとレナの頬を撫でて抱きしめる姿勢を解き、踊り子衣装をひらめかせて天井近くに浮かび上がる。

くるりっ!
華麗に回って、パンと手を叩く!
黄金の光がカルメンの周りでパチパチはじける。

「「うわーーお! カルメン様ー! ひゅーひゅー美しいーっ」」

幼い声援を聞いて、カルメンは愉快そうに声を上げた。

『レナの従魔のジュエルスライム、クレハよ。
おそらくその青色の片割れと魂を共有しているため、白炎の影響を受けづらいのだろう。
それに現状、スライムの核の宝石の耐久度が足りないようだな。
今後、更なるクラスチェンジを目指して励むといい』

「「げっ」」

クーイズが思わず顔を引きつらせて反応してしまう。

『聖霊カルメンは全力でレナの従魔たちをサポートする、と言ったはずだ。ふふふ!
では二つ目。
スライムの核の強化に、少しだけ力を貸そう』

カルメンがクレハを指差す。

「ひゃーー!」

クレハは逃げるようにレナに抱きついたが、聖霊の魔力に包まれてしまい、びくんっと大きく震えた。

「ちょっと、カルメン!」

『先ほど、従魔の扱いに気をつけるように言われたのは覚えているとも。レナ、騒がずともよい。
クレハよ、痛くないだろう?』

「クー、大丈夫……?」

レナとイズミが心配そうに、レナの胸元に顔を埋めているクレハを見る。
ゆっくり顔を上げたクレハの目が……赤みがかった黄金色になっている。

「「ひ、|緋々色黄金(ヒヒイロカネ)……!」」

「えーーーっ!?」

クレハが自分の顔を見ようと、きょろきょろ頭を左右に振る。それでは見えないのだが、混乱しているようだ。
スッとキラが滑り込んであげて、パンドラミミックの鏡面で目の色を確認したクレハは「ぎゃーーっ、マジじゃん!」と叫ぶ。

『痛くないように加護を与えることは初めて試みたのだが、あっさりこなせた我々はさすがである。ふふん。
では、次』

聖霊カルメンの暴走が止まらない。
周囲の心労などおかまいなしである。

『レナがなによりも大切にしている従魔の、故郷を修復しよう。
気になっていたんだろう?』

「えっ!? それって……この鍾乳洞のことなんやろか……?」

レーヴェが、信じられない、というように目を見開く。

「ラ、ラミアの里の復興を助けてくれるのじゃな? カルメン様ーー!」

キサは抜け目なくわっしょいした。
後輩の活躍に、先輩従魔たちが思わず笑顔になる。えらい!

『よいよい』

カルメンは心地よさそうに声援を浴びる。
信仰心は聖霊にとってのエネルギー源なのだ。
太古の信者が滅亡した今、この場にいるみんなの尊敬こそが彼女の活力となる。

『聖霊カルメンが望む! 世界の真理よ、変化を受け入れよ』

どえらい言霊(ことだま)が放たれた。
カルメンの声が力強くこだまする……

▽温泉広場いっぱいに 黄金の魔法陣が 現れた!

『その身を|緋々色黄金(ヒヒイロカネ)に変えよ。
えーと確か……超速マシュマロボディマッチョマン!』

再びぶわっ! と立ち上った熱気により、壁の突貫修復剤となっていたマシュマロボティマッチョマンが、さらにとろけてヒビ全体にきれいに広がる。
そして、カルメンの加護を受けて、緋色の輝きを放つ黄金となった。
元の鍾乳洞の壁よりもよほど硬く、頑丈に修理修繕されたのだ。

豪華絢爛な|緋々色黄金(ヒヒイロカネ)模様の温泉浴場ーー!
こんなところは世界に二つとない。
そしてみんなの頭に一つの妄想が浮かぶ。

(まるで、ラミアの里がレナパーティの配下みたいな雰囲気を醸し出している……っ)

▽大人たちが レナを そっと見ている。

『聖霊カルメンは現在、半分の力しか発揮できないのだが、ともに魔力を共有したレナの影響が強いものならば、|緋々色黄金(ヒヒイロカネ)に変えられるようだ』

カルメンが明言してしまった。

▽大人たちが レナを ガン見している!

つまりレナの魔力を帯びたものが、|緋々色黄金(ヒヒイロカネ)に変わる可能性があるわけだ。
今、古代のレア金属を得るための唯一の手段と言えるかもしれない。

こめかみに指を添えたレナに、ぴっとりとくっ付いて、目を閉じているクレハは、おそらく自分も|緋々色黄金(ヒヒイロカネ)を作り出せるようになったということを、政府役員たちに隠そうとしている。

ジュエルスライムが毎夜特別な宝石を吐くことはまだ知られていないので、わざわざ教えてあげなくてもいい。
護衛部隊はそれなりに信用しているが、よそから狙われる危険は少ない方がいいのだ。
この場で本物の|緋々色黄金(ヒヒイロカネ)と照らし合わせられなければ、クレハの瞳はもともと黄金に近いはちみつ色だったので、気づかれないだろう。

クレハがそっとため息を吐く。

(ふぅ……。まあカルメン様の加護、痛くなかったしー。
レア金属を創れるようになったなら、レナの強化やリリーの宝飾訓練に利用できるから、いっかぁ。
もらえるものはもらっておこーっと。
後輩が増えたんだから、先輩が頑張ってるところをもっと見せて、頼られる存在にならなくっちゃね)

聖霊の押しの強さに唇を尖らせているものの、クレハも加護を(運命だろうししゃーない)と受け入れたようだ。

『さあ。仕上げとしよう』

さすがに動きが止まってしまっているレナの元にカルメンが近寄り、手に持っていた白炎聖霊杯(カンテラ)を顔に近づけて、レナにちゅっとキスさせた。

『我々聖霊の声を届ける”司祭”となるがよい。レナ』

<称号:[|白炎聖霊杯(カンテラ)の司祭]を取得しました!>
<ギルドカードを確認して下さい>

太古の火山地帯で、聖霊信者たちの頂点に立っていた栄誉ある”司祭”という立場をレナは手に入れた。あっさりと。
レナのこみかみがピクピクと痛みを訴える。

『あとは、片割れを目覚めさせた時には、完全な白炎の加護と、聖霊の祝福による特別な炎魔法の取得を約束しよう。
ーーさあ。これでどうだろう?
現在提示できる手札はすべてレナに贈ったぞ』

「……とっても見事に退路を断ってくれたわね? カルメン」

レナがドスの効いた笑顔を頭上に向ける。

『愛しい片割れとまた出会いたいのだ。許せ』

……そう言うカルメンはとても寂しそうな顔をしていた。

こういう表情をされると、レナは弱いのだが。

ぐりぐりと眉間をもみながら、カルメンの状況をレナが思い返す。
火山の噴火により故郷が滅亡、気が遠くなるような年月を地中で過ごし、いざ目覚めてみたら世界はまるで別物に作り変わっていた。信者はおらず、聖霊の半身は行方不明。
一体どれほどつらいのだろうか。

思いやって、寂しさを共感してしまうくらいにレナは優しい。
それにカルメンはもうレナパーティと深い関係を築いている。

「……いろいろと、もう、もらってしまったものね。
白炎の加護も、鍾乳洞の修復も、貴方との繋がりも。
ねぇ。|どんな時にも(・・・・・・)私たちの味方でいてね? カルメン」

ここまできたら完全に身内に引き込んでみせるまで。
レナは気持ちを切り替えて、輝くような笑顔をカルメンに向けた。

『ああ、もちろんだ』

「大好きよカルメン♡
もう一つの白炎聖霊杯(カンテラ)の捜索、引き受けましょう……。
絶対に成し遂げる、と確約するのは難しいけれど、友達のために全力で協力すると約束するわ」

レナがここぞと語尾にハートをつけてカルメンを呼んでみせると、カルメンが恍惚とした表情になった。
スキル[友愛の微笑み]もこっそりと使っている。

『感謝する、友よ!』

(((恐ろしい手腕だな、レナ様……!)))

護衛部隊がもはや何十回目かの戦慄を覚える。

どんな時でも聖霊カルメンがレナパーティの味方につく、という破格の状況を手に入れた!

国家や巨大組織がレナパーティの取り込みを図ることができなくなったと言えるのだ。
聖霊が嫌と言えば、国家であろうとも機嫌を損ねるようなことはできないのだから。

カルメンの友となったのが、平和思考のレナパーティでまだ良かったのだが、護衛部隊は政府への報告のことを考えて頭を抱えている。

「鍾乳洞が直って良かったわね。キサ。レーヴェさん」

そんな大人たちは見ないふりをして、レナは優しく目元を和らげて、キサに声をかけた。
早くも従魔贔屓に余念がない。

キサは崇拝するような瞳で、レナを熱く見つめ返す。

「うんっ。また、この伝統ある場所でラミアが暮らせる……それがどれほどありがたいことか……!
レナ様とカルメン様には、どれだけ感謝しても足りないのじゃ。
ラミアの里には強大な不幸が訪れた。
しかしみんなが頑張って悪者を追い払ってくれたから、誰一人欠けることなく生きていられた。
うううう、良かった、嬉しいよぉ……!」

キサが感極まって、また泣き始める。
こっそり温泉広場の入り口に集い始めていたラミアたちが、目元を押さえながら、レナたちに深く頭を下げた。

キサの純粋な本心を聞いて、レグルスがへにょんと耳を折る。
ロベルトが「これからの活躍に期待しているぞ」と苦笑しながら告げると、こくりと頷く。

この場で可能な限りの最善が尽くされて、ラミアの里のトラブルは収束したのだ、と皆が感じた。

(……ねぇねぇ、何かイズたちも、後輩のためにしてあげられることがないかなっ?)

(あー。それいいですねー。鍾乳洞は頑丈になったけどー、温泉も枯れちゃって環境は壊されたままですしー。なんとかならないかなー?)

((((ルーカお兄さーん!))))

(はいはい)

身内贔屓なのは先輩従魔たちも同じ。
ルーカを中心に囲んで、こそこそと作戦会議が小声で行われる。

▽従魔たちは 作戦を 練った!

さすがに従魔が密集していると目立つ。
みんなの注目をたっぷり浴びたあとで、従魔たちは笑顔でハイタッチした。

すでに聖霊のお祭り状態だから、いっそ思い切りやろうぜっ!

「よしっ」

イズミがぐっと拳を握って気合いを入れて、キサに駆け寄ってくる。
キサの顔を覗き込んだ。

「あのねっ、この場所にまた温泉が復活したら嬉しい? 可愛く笑ってくれるかなー?」

「!!……う、うんっ」

どうしてそんなことを聞くのかと思いながらも、キサは必死でこくこく頷く。
溢れた涙を指ですくってあげながら、イズミがにこっと笑った。

「そっか! じゃーね、先輩たちがここに温泉を取り戻してあげるね!
レナと一緒で、身内はたーっぷり甘やかすってイズたちも決めてるんだもん!」

「それなー!」

クレハがイズミに抱きつく。
ふたりでにんまりと顔を見合わせると、ぎゅっとお互いの手を握った。
手のひらがじんわりと溶け合い、魔力を共有する。

「後輩のためならー、耐えてみせよう白炎にもねっ。
カルメン様ちょっと加護を下さーい! ちょっとだけよっ!?」

クレハが声をかけると、カルメンからはいともたやすく加護が与えられる。
強化に手を貸すと決めていたので、ためらいがない。

ぞくぞくと湧き上がる熱にクレハが耐えていると、赤髪のほんの一部が純白に染まった。
イズミの身体も同調して熱くなる。

「準備はオッケーだね。クレハ、イズミ、よく頑張りました。
じゃあ、いくよ! 光魔法[サンクチュアリ]」

ルーカが地中深くから円柱状に結界を展開する。

何が始まるのか?
ご覧あれ。

「水魔法[ファウンテン]ーーー!!」

<水魔法[|命水創造(エリクサー・メイキング)]>

ゴゴゴゴ……と地響きが聞こえてくる。
そして、ドッパーーーーーン!!

▽輝く温泉水が 吹き出した!

「ストップ、そこまで」

ルーカの声でイズミが魔力供給を切り、天井を突き破りかねない勢いで噴出していた温泉水はなんとか空間内におさまる。
聖霊のエネルギーとエリクサーの回復力に満ちたとんでもない温泉が湧いた。

「スキル[夢吐き]〜、光虫たちよ〜」

ハマルの綿雲の尾から、ぽわぽわと柔らかい光が現れて天井に上っていく。
ギルティアに破壊された光源の代わりを作り出したのだ。

(……あれ? ハーくん、生物は夢吐きできなかったはずじゃ……)

(レナ、見てて)

レナの疑問を察したルーカが、いたずらな表情で魔剣を抜いて、天に掲げてみせる。
すると、光虫がブォォン! と威嚇音を立てながら急降下してきた!
トンボのような翅は、よく見ると鋭利な刃物のよう。

みんなが驚く中、ルーカが魔剣をしまうと、光虫は突進をやめて、再び穏やかに天井付近に浮かび上がった。
スフィンクスシープ状態のハマルが解説する。

「光の電子守護者(デジタルサーヴァント)だよー。
もしここに敵意を持った不審者が現れたらー、撃退してくれるのー。
のんびりできる温泉で戦闘って本来ご法度だもんねぇ。
湿気にも耐えられるらしいしー、とってもいいでしょー?
後輩のためにボク頑張っちゃったー」

生き物ではないらしい。永久に生き続ける守護者とのこと。

『|緋々色黄金(ヒヒイロカネ)も湿気に強く、錆びることはないのだ。
場をカラリと保つ効果があるぞ』

何気にカルメンが張り合う。
湿気対策も万全で、それはもう、究極の温泉環境といえよう。

ラミアたちから、何度も何度も感謝の言葉が送られる。
後輩のため、という大前提があるものの、いい事をして喜ばれるのは気持ちがいい。
レナたちも心がほっこりした。

「うへ。さすがに疲れたぁ……休憩したい〜」

「この場で湯加減確認してもいーい? レーヴェさん。スライムに戻るからー」

「ああ。もちろんかまへんよ。ふたりとも本当にありがとうね」

イズミとクレハが「「かまへんよ☆」」とレーヴェの口調を真似て敬礼して、魔物に戻ると、ぷかぷかぷよぷよと温泉に浮かぶ。

『『エリクサーがボディに染み渡るぅ〜』』

とろりと表面を柔らかくした。
すると……

『んひゃっ!?』

『えっ。イズ、どーしたのー!?』

『なんかね、体内がムズムズするのーーっ』

イズミのスライムボディが内側から光りだす。
にょろり、と脚が現れた!?

「なんやあれ!?」

「新たな敵襲か!?」

ラミアと護衛部隊がどよめき立つ。
即座に戦闘態勢に入ろうとした面々の前に、レナ様が仁王立ちした。

「恐れなくても良いわ。あれはね……」

レナは遠い目で振り返る。

(すっかり忘れてた。そうだよ、私たちはこの報酬のために……)

『ミィーーーーーっ♪』

▽リトル・クラーケンが生まれた!

「激レア高級食材! ミッションコンプリート!」

レナがヤケクソで鞭をスパァン! と地面に叩きつけて、高らかに宣言した。

やはり従魔たちも「そういえばそういう話の流れだった」とポンと手を打っている。

あまりの疲労感と、場が収束した安心感で、レナはついに気を失った。
とても頑張ったご主人様は丁寧にお宿♡に運ばれて、目覚めてから愛しの従魔たちとたわむれて気力回復につとめたのであった。

▽レナパーティは 極大試練を 突破した!
▽聖霊から 数々の加護を 取得した!
▽高級激レア食材を 取得した!

▽ラミアの里でのトラブルが 終息した。

▽Next! それぞれの後日談

 

 

 

 

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