144:従魔の成長

『『『『<従えてぇーーー!>』』』』

もう無理! レナ様素敵! と先輩従魔からラブコールが飛んでくる。
レナが投げキッスで対応するときゃーーっと歓声が上がった。
シュシュが『愛情の返し方』を学ぶためレナを観察し、護衛部隊から「まじか、レナ女王様ぱねぇ」とのコメントが出て、キラが記録し、ルーカは笑うべきか憐れむべきか悩んで珍妙な表情をしている。

内心のレナはともかく、全てが丸く収まったようだ。

すっかり空気が和んだところで、シュシュがレナの胸に倒れこむ。

『く、くらくら、する……ぅ……』

「! 気を失った……? キラ。濃いめの粗茶を」

<へいお待ちっ>

レナはパンドラミミックの蓋を少し開けて、まるで水筒からお茶を注ぐように、シュシュの口に少しずつ[エリクサー]を流し込んだ。
スマホ程度の薄さしかないミミックから直接液体が溢れている様は異様である。

現在、全力で[鼓舞]していたレナの魔力はほぼ空っぽだ。
[従魔回復]よりも、キラの粗茶のほうがよいと判断した。

▽シュシュが 目覚めた。

体調も回復しているらしく、しっかりと立ち上がる。
レナたちがホッと息を吐いた。

(あれは……? また恒例のトンデモアイテムなのだろうか。
リーカ、メドゥリ・アイの瞳で確認できたか?)

ロベルトがちらりとリーカを見ると、額を押さえてぷるぷる震えている。
覗き視は許せないような品なのか……とため息をつきながらシュシュに注目を戻した。
リーカから「覗き見防止の魔道具などを使用している気がする」と報告されていたので、このような展開は一応想定している。

宰相を酔わせたコーヒーのように、珍しいレナの故郷の品なのかもしれないな、と考えた。
見当違いだ。
しかし|生命の水(エリクサー)などと特定できるはずがない。

「シュシュ。もう体調は平気か? 話を聞いてもいいか」

『ん……?』

ロベルトがシュシュに歩み寄り、話しかける。

「君は訓練中に、唐突に眠そうなそぶりをみせたな。
オズワルドとの戦闘が始まろうとしているタイミングで、だ。
そのような緊張感のある時に眠くなるなど、普通に考えればありえない。
この時の感覚を覚えているか?」

『……えーと、分からないかなぁ』

シュシュが困ったような顔で、ふるふると首を横に振った。
そうか、とロベルトが言う。

「最近ジー二アレス大陸内で報告されている現象によく似ている、と感じたんだ。
以前少し話していただろう?
子どもがふらりといなくなる事件のことを。
最近になって報告例がさらに増えて、詳しい症状が分かってきた。
まず最初に、違和感があるくらいに攻撃的になったり人に不信感を持ったり、精神が不安定になる。
その後、やたらと眠そうなそぶりを見せる。
睡眠時間が次第に長くなり、悪夢にうなされるらしい……。
昏睡状態になると、数日から、長くてひと月は眠ったままだ。
目覚めた場合は、ひどく憔悴しているが、回復する。
しかし最悪なパターンとして、ある日ふらりといなくなる者もいる」

「……!」

レナたちが表情を引き締めて話を聞く。

夢、と聞いて、例のオズワルドの夢に介入しようとした不審者のことを思い出した。
ハマルが撃退して、痕跡がないことをルーカが視認したため、まだ当時は信用が浅かったシヴァガン王国政府に報告をしていなかったが、今このタイミングでは報告するべきだろう、と判断する。

ひとまずロベルトが話し終わるのを待つことにした。

「子どもが巻き込まれることが多いから心配したが……シュシュは自分で持ち直したようだな。良かった」

レナがフッと息を吐いて高らかに発言する。

「私の従魔ですもの。当然よ?
もちろん弱い部分もあるけれど、それ以上に色々な強さを持っているから、みんながこれから輝かしい道を歩むのだわ。逃げ出したりしなくても大丈夫。
望む場所に、私がきっと導いてあげる!」

『ご主人様ァァーー!』とまた黄色い歓声が上がったのはお約束だ。
ロベルトが苦笑する。

「それなら安心だ。
ところで……先ほどのシュシュに飲ませた”粗茶”とは?
昏睡から目覚めた時の消耗が一瞬で回復するとは素晴らしい性能です。
それだけの効能がる薬品は凄まじく苦いものですが、シュシュはまるで無味かのように飲み干していましたね。
ぜひ、あの品をシヴァガン王国と取り引きして頂けたらと思うのですが。
アリス・スチュアート様に商談を相談すればよろしいでしょうか?」

ぐいぐいとロベルトが交渉に入った。
にっこり、と含みのある笑顔をレナとお互いに付き合わせる。

「あらあら。どうしましょうね? キラ」

<ああーーん、そんなぁッ、私の内部を確認したいだなんてえっちー! 嫌です!
そんなことより。
ここらでいっちょアナウンスをさせて頂きますね。ピンポンパンポーン>

キラが護衛部隊にも聞こえるようにけたたましく話し出すと(噂のパンドラミミックってこんな性格だったのか!?)と驚愕の表情をされた。
無機物系の魔物にはおとなしいタイプが多いのだ。
レナの従魔たちは普通じゃないから、とすぐ納得する。
順調に慣れてきている。

(ラナシュの福音(ベル)にはタイムラグがあった、キラは成長してそれも分かるようになった……ということかな。
この戦闘中に、成長がシュシュの一度のレベルアップだけということはないだろう。
ああ、なるほど)

ルーカが視た、キラの現在のステータスがこちら。

「名前:キラ
種族:パンドラミミック LV.5
適性:白魔法[光]、黒魔法[空間]、緑魔法[風]、青魔法[水]

体力:10(+1)
知力:20(+4)
素早さ:11(+1)
魔力:38(+3)
運:12(+2)

スキル:[空間創造]、[スペースカット]、[スペースペースト]、[テレフォン][投影]、[音響]、[ステルス]、[|理(ことわり)の理解]
ギフト:[アース・データベース]☆7、[創造者]☆7」

ここにさらに、風魔法[|大精霊召喚(シルフィネシア・コール)]、光魔法[|祝福の鐘(ベネディクション・ベル)]、水魔法[|命水創造(エリクサー・メイキング)]なども加わってくるのだからとんでもない。

キラも順調に育っているな、とルーカはただ成長を喜ばしく思った。
細かいことは考えても仕方ないのだ。

<それでは! 一番盛り上がるタイミングでやっちゃいますね! イヤッホゥーー!>

キラの宣言直後、世界の福音(ベル)が響き渡る。

<従魔:オズワルドのレベルが上がりました! +1>
<ギルドカードを確認して下さい>
<☆クラスチェンジの条件を満たしました!>

<クラスチェンジ先:デス・ハウンド>
<進化させるには、種族名項目をタップして下さい>

全員が目を丸くしてオズワルドに注目した。
リーカのみ、視点を変えてキラを眺めている。

「あのパンドラミミックさん……まさか、福音(ベル)のタイミングを操ってる……!?」

「え? 何言ってるんだよリーカ。さすがに……そんなわけないってー。そんなことができるのって、この世界の神様ぐらいでしょ。
ねぇ、第三の目で視てみて」

「焼かれた」

「へ!? 何!?」

「痛い」

「そ、それで額押さえて第三の目が半開きなんだな……それでも任務全うしようとするのさすがだけど、無理はしないでくれよ。お姉様」

ドリューが気の毒そうにリーカを見た。
さすがにかわいそうなので、レナたちがあとで一般的な高級目薬を差し入れると言っておこう。

<ただ、ちょっぴり未来予知ができるだけで御座いますよ? なーんちゃって。ホホホホ!>

キラがごまかし、推測を撹乱させた。
タイミングを見計らってアナウンスしただけなのだが、あまり能力を特定されるのもな……と考えたのだ。

『デス・ハウンド』

オズワルドが唖然と呟いた。
レナがよしよしと頭を撫でてやる。

『それ、すごいの? シュシュも知りたい。
ご主人様、説明文教えて』

「ええ。分かったわ」

レナの意図を察したルーカがオズワルドを見て、それからキラに視線を送り、キラがレナの脳内に情報をアナウンスする。

「【デス・ハウンド】……地獄の番犬ヘルハウンドの上位種族。業火を操る、大きなオオカミの姿の魔物。全てのイヌ科の魔物がこの者に本能的に好意を持つ、種族の覇者である。詳しい生態は不明」

『すごくすごそう!』

シュシュがやったね! と、オズワルドの肩をポスポス叩いた。

「【デス】の称号を種族名に持つ魔物になるとは……それも、こんなに早く。素晴らしいな。オズワルド。
ドグマ様でも、ケルベロスに進化する際にやっと種族名に【デス】を取得したんだ。
おそらく血縁であることが成長促進に関係しているんだろう」

ロベルトが静かにそう言って、驚きながらも穏やかにオズワルドを祝福した。

『父親の血』

オズワルドがポヤポヤする頭を動かし、じいっ、と胸元に視線を落とす。

この奥でドクドク鼓動する心臓に流れる血は、魔王デス・ケルベロスの父と、巨人族の母からの贈り物。

以前のオズワルドだったら、また父親の恩恵を受けているばかりだ、と嘆いたかもしれない。
今はただ深く感謝して、現実を受け入れた。

両親と、主人の【☆7】ギフトの力で、オズワルドはこれから強くなる。
仲間たちは『オズワルドの努力の賜物でもあるからね!』と認めてくれるのだろう。

『強くなりたい』

オズワルドがはっきり言うと、レナが指先で【デス・ハウンド】の文字をなぞった。
進化が、始まる!

▽レア・クラスチェンジ!

『……うっ』

オズワルドの身体が青い炎にぼうっと包まれた。
生まれながらのブラックドッグである彼にとって、初めてのクラスチェンジだ。
内側から焼かれるような独特の痛みに、歯を食いしばって耐える。

頑張れー! と先輩従魔たちが応援する。
コミカルダンスはキレッキレ。日々のキラミュージックダンスの成果が表れていた。

<ああー! 私の内側も熱いですぅ>

パンドラミミックの蓋がわずかに開いて、眩しい光が漏れ出ている。
レナは迷わず「太古の聖霊が宿る金属球」を取り出した。

「あのね? 私の従魔はいい子だから痛みも我慢しているけど、あんまり傷付けると許さないわ」

金属球をひと睨み。
レナの睨みが効いたのかは分からないが、光は少し控えめになって、レナの瞳に少しだけ装飾の赤色を映した。

((((まるで聖霊が調教されているみたいな……))))

護衛部隊の予想はそれなりに合っていそう。
ルーカが口元を押さえて、震えながら、げほっごほっと咳き込んでいる。

オズワルドの身体がぐんぐんと成長していく!
脚は太く、がっしりと大地を踏みしめる。
四つ足立ちの状態で、すでにレナの胸元に頭があるほど身体が大きい。

漆黒の体毛が艶やかに伸びて、青色の炎を纏った。
毛先の一部分は白く染まっている。
先ほどの戦闘時よりも、純白の範囲が拡大している。

黄金の瞳が力強く見開かれた。
そこに映る景色は、見違えるほど明るく美しい……オズワルドは感動する。
彼のこれからの栄光の人生を表しているかのようだ。

「名前:オズワルド
種族:デス・ハウンド♂、LV.32
装備:M風の子服セット、尾の飾り布、ニクキュウ靴、M|身護(みまも)ペンダント、M服飾保存ブレスレット(金)
適性:黒魔法[時空]、赤魔法[炎]、黄魔法

体力:75(+8)
知力:42(+10)
素早さ:67(+12)
魔力:42(+10)
運:33(+5)

スキル:[嚙み砕き]、[心眼]、[観察眼]、[咆哮]、[炎爪]、[炎の毛皮]、[リトル・ボム]、[|重力操作(グラヴィティ)]、[持続力]、[冷静]、[シャドウ・ナイフ]
ギフト:[限界突破]☆5、[|巨人の血筋(タイタンクラン)]☆4
称号:魔人族、魔王の子」

「おめでとう!」

『『『『『おめでとう、オズー!』』』』』

レナパーティの全員が祝福する。
オズワルドはたまらなくなって、空を仰いで遠吠えを響かせた。

ガオーーーーーン!!

昂まる感情に感化されたのか、金属球が再びまばゆく光る。
なんと近くの木々に、白炎が燃え移ってしまった!

『あっ!? ごめんっ』

「まあ……。大丈夫よオズワルド。消火が得意な仲間に任せなさいな。私たちはパーティなのだもの。補い合えばいいの。
イズミ! 思い切りやってちょうだい。みんなはイズミのサポートをしてあげてね」

従魔たちの目がギラリと光る。
先ほどの全力の戦闘からシュシュのハイテンションに共鳴していて、なんとか今まで興奮を抑えていたのだ。
レナ女王様の号令で、リミッターが解除された。

軽快な鞭の音に、心が鼓舞される!

『はぁーーい! ご指名ありがとうございまっす。イズ、いっきまーす。水魔法[ファウンテン]っ!』

「範囲制御は僕にまかせて。光魔法[サンクチュアリ]」

『じゃ……飛び散った炎は、私が、消火するっ! 特別な魔法の、炎だもんね? これでいいはず。……スキル[魔吸結界]』

『えっとねー。そーだなー。ボクは……スキル[夢吐き]いでよ、シャボンドラゴン・ウルルー!』

<ウルルさんの体内にエリクサーを仕込みましょうか。アフターフォローで御座います☆>

ルーカが燃えている一帯の地底から空までを光の聖結界で囲む。
ハイテンションに任せて、まるでレナのように高らかに笑い声を響かせた。相当キテる。

青スライムのイズミがぷよぷよクルクル〜! と回転して、キメポーズすると地鳴りのような音が響き始めて、ゴウッーーー!! と巨大噴水が地面から噴き出した。

森林地帯を瞬く間に冷たい水流が舐めまわしていく。
結界を突破することはできないので、水槽のようなものが出来上がる。

ルーカは極力範囲を絞って結界を作っているため、地面には草が一部燃えている場所が残っていた。
その火種は、楽しげに飛び回るシャボンドラゴンのウルルと、リリーの漆黒の[魔吸結界]が消火する。

極大魔法のオンパレードに、護衛部隊の空いた口がふさがらない。

<従魔:イズミがレベルアップしました! +1>
<従魔:ルーカティアスがレベルアップしました! +1>
<従魔:リリーがレベルアップしました! +1>
<従魔:ハマルがレベルアップしました! +1>

<<<<ギルドカードを確認して下さい>>>>

やったーラッキー!
シュシュの額のカーバンクルが誇らしげに光った。

シュシュ、オズワルド、クレハはレナの側にいる。

『レナ、金属球はクーのボディの中に収めておくねー。
ドンマイ、聖霊さんよ。レナに叱られちゃったけどさ、そんなに落ち込むなってー。つい張り切っちゃったんだよね? 分かるよ、従魔みんな今興奮してるもん。
あとで土下座して謝ったらなんとかなるさ!
……お!?
なになに、クーに懐いちゃった? やーんっ。クーのボディもちょっぴり白くなってきた〜あっっっっつい!!
オズ、よく無言でこれに耐えてたよねー!?
イカスぜあっっっっつぅい!』

レナがクレハのスライムボディにずぶっと指を突っ込んで、金属球を小突くと少し熱がおさまった。

「せっかくの機会だから、クレハも行動してレベルアップしておくといいかもしれないわ?」

『んー。じゃ、シュシュに軽くボディアタックしていい?』

『ドンとこい、だよ。押忍!』

クレハがぷよん! とシュシュにぶつかる。

<従魔:クレハがレベルアップしました! +1>
<スキル[状態変化・マグマボディ]を取得しました>
<ギルドカードを確認してください>

『やったぜ!』

「良かったわね」

にこやかに笑うレナと触手でタッチするクレハ。
とろとろアツアツのマグマに変化できるようだ。

金属球との会話ができるのかと聞かれると『なんとなーく意思を感じる演出をしてただけなんだけどー、ほんとに懐かれたのかも! きゃはっ』と適当な回答が帰ってきた。

森林火災が鎮静する。

シャボンドラゴンのウルルが焼け焦げた木々の上で弾けて消えた。
体内のエリクサーを散布させると、あれよあれよという間に、緑の芽が生えてくる。

いい加減、護衛部隊の顎が落っこちかねない。

「草木の急激な再生……これほどの事例は初めて聞く。
森林再生に努める樹人族の力を結集してもこうはいかないだろう」

クドライヤが真剣な表情になり、スッと目を細めた。

「後始末は終わったわ。ちょっぴりみんな張り切りすぎちゃったけれどね。私も含めて、オズワルドの進化がとても嬉しかったの」

レナが満足げに消火の跡と、従魔を眺めて言い、ロベルトに視線を送る。

「【デス】の種族名を持つ魔物について補足説明しましょう。
規格外にたくさんの魔物を屠った者にのみ与えられる種族称号である、というのが常識でしたが……オズワルドの中の濃いデスケルベロスの血が、世界の判定を覆したのだと思われます。
幸せを呼ぶ赤の女王様の応援が効いた、という一節もありえそうですね?
圧倒的強者の子は、親に似た進化経路をたどることが多い。
ドグマ様はブラックドッグに進化してから、ヘルハウンド→ ヘル・オルトロス→ デス・ケルベロスと成長しました。
しかしオズワルドはドグマ様とはまた違う魔物に進化していくと思われます。
より強いレア種族になりそうです」

「この子の夢がより叶いやすくなったということね。喜ばしいわ」

「ドグマ様もきっと喜ぶはずです。それはもう盛大に」

「彼に報告しておいて下さる? 上手に、ね。貴方を信頼して、第一報をお任せするから」

レナがにこやかにロベルトにお願いする。

つまり、息子の進化に喜んだドグマが大暴走する前に、きちんと対処するよう頼んでいるのだ。
その目的があったからこそ、護衛部隊の目の前でクラスチェンジを披露してみせたのだから。

ロベルトが頬をひくっと引きつらせながらも、まあ仕方ない、と一礼する。
中間管理職は気苦労がとても多い。
どうやって魔王を落ち着かせて、息子の近況報告をするべきかとさっそく脳の片隅で考え始める。

レナパーティの思惑は受け入れられたらしい。

夢の世界へ介入しようとした不審者についても、レナが報告する。
ロベルトたちは驚きながらも、冷静に話を聞き、シヴァガン政府に持ち帰って幹部たちに相談しておくと約束した。
レナたちに情報提供の感謝を述べた。

「いつの間にやら随分時間が経ってしまいましたね。今日はもう引き上げましょう」

ロベルトが言い、レナたちは頷く。

「また、次にお前と戦えることを楽しみにしているぞ。オズワルド」

ロベルトが声をかけると、大きな美しい獣は自信満々に青い炎を纏う。
まだうまく炎の制御ができないらしく、オズワルドの興奮に合わせて炎が具現化してしまうようだ。
炎が白くなる前に、慌てて平常心を心がけて、青い炎を鎮めた。

ドリューが恐る恐るレグルスの様子をチラ見すると、顔を顰めていて、かなり気分が悪そうである。
白炎を自らの能力として得られなかったのだが、強大な熱の影響を受けてしまい、実は体調を崩してしまっていた。
あちゃー、とドリューは顔を逸らして、さりげなく小瓶のポーションを差し入れた。

レナパーティのみんなが帰り支度を始める。
従魔たちがヒト型になった。

「……進化してすぐに魔人族としても大人びるかと思ったけど、そうでもないんだな」

オズワルドが呟くと、ルーカがキラに目を合わせて、レナパーティの脳内に解説が流れる。

<”他の従魔と同様に、オズワルドはレナの体質によって成長促進されている。だから世界の適用がまだ追いついていない。
そのうち一気に見た目が大人っぽく成長するはず。もしかしたら、先輩従魔たちのほうがその変化は早いかもしれないけどね”……だそうです>

「今のうちに、可愛い子たちにたくさん子ども服を買ってあげましょう。絶対よ」

レナが決意した表情で告げる。
今のぷにぷに柔らかくて可愛らしい幼児たちを堪能すべしと心が叫んでいるッ!!

オズワルドを肘で小突いている幼い従魔たちのやり取りに癒されながら、レナもゴクリと生唾を飲み込み変身を解く。

「ッ……うぁああああああっ!?」

ーーサンクチュアリの内部で[聖・ジャッジメント]の余波を受けていたレナは、思いがけず溢れ出した黒歴史により、自らも苦しむことになるのだった。

先ほど[笑い上戸]の称号をセットしてあらかじめ大笑いしていたルーカが、真面目な宣教師として大活躍し、それっぽい赤の伝説を説法して場を収めた。

▽赤の伝説が 更新された!

▽Next! 魔王国政府からの特別指名クエスト

 

 

 

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