104:パフォーマンス1

オズワルドが仲間入りした翌日、レナたちは魔王国内にある自然鍛錬場を訪れた。

王都の中にある結界で隔離された森林地帯が、国営の訓練場として開放されているのだ。
内部には攻撃を当てるためのカカシや魔法の大岩、落とし穴などの罠が置かれている。罠は自動修復だ。
敷地面積はかなりのもので、少々厄介な生態の植物なども生息しているが、よほど危ない種類は政府軍が駆逐しているため、駆け出し冒険者がよく利用している。
利用料は少しかかるものの、良心的な値段設定。無料開放だとダラダラ居座る者がいるため、1時間ごとの課金制になっている。

オズワルドによると、今の時期、魔王国周辺の森はちょうどマタタビツリーの全盛期なのだとか。葉が青々と生い茂り、ネコ科を酔わせるにおいがとても濃くなるそう。
猫系獣人はまず街から出なくなる。
あと10日もするとにおいがかなり薄まってくるので、それまではレナたちも王都に引きこもって過ごす事にした。
この状況下で、ネコミミヒト族が事故に遭わない筈がないのである。

「立派な受け付け所だねー! あの厳ついゴーレムの見張り員さんを、腕力でどうにかしようと考える人はいなさそう。安心して利用できるね」

レナが訓練所の入り口を見て、うんうんと頷く。
石造りのアーチの門前に、大きなストーンゴーレムの係員が2人、どっしりと構えていた。
彼らがいる以上、荒くれ者に絡まれる展開は避けられそうだ。

「ここの従業員があえてヒト化していないのは、サディス宰相の計らい。
素行の悪い者を近寄らせないように威嚇目的と、これくらいで新人冒険者が怖気付かないように、精神訓練でもある」

<柵できちんと街と森林の境界が区切られているのですね。感心感心>

「ここは鍛錬の場だから、場内の攻撃魔法なんかが外に出てしまわないよう、特に手をかけて管理されてるんだ。かなり強力な結界が組まれてるよ」

『『ぱふぱふーーっ!』』

クレハとイズミがルーカの肩にぴょーーんと乗っかった。

「ん? ……それでは、リクエストにお応えして。
あの結界は、光魔法と闇魔法、付与魔法の合わせ技。組み立てに数名の優秀な術者が携わっていて、指揮をとったのは高位のマジシャン・デーモン。魔力補助にケットシーたち。
[サンクチュアリ]とほぼ遜色ないくらい堅牢だね。すごい。
ここまで強力な結界を作り出せたのは、様々な種族をまとめるシヴァガン王国政府の手腕があればこそだろう」

「あのさぁ……」

オズワルドがじっとりと黒猫ルーカを見上げる。
魔王国渾身の結界まで速攻で丸裸にする所業に、オズワルドの常識が悲鳴をあげている。
おそらく、誰がどのように魔法を使ったのか、構築すらも目を凝らせば視ることができるのだろう。
得意げな黒猫の様子に、オズワルドははあ、と大きなため息をついた。

この元王子は、索敵特化の実力者とみて間違いない。
仲間の幼い従魔たちもそれぞれ希少種なので、強力な技を扱えるはずだ……と、金眼を瞬かせながら思考する。

レナパーティの戦力水準はかなり高いと考えられる。
普通なら、彼らの前でパフォーマンスをするなど、怖気付くところかもしれない。

だが、オズワルドも恐るべき戦闘力を持つ魔物同士の子で、希少種のブラックドッグ。
先輩従魔たちに劣らず、十分すぎるほどの実力を持っている! と自負していた。
訓練場で実力を主人に示すとしよう、と思考すると、見事な毛並みの尻尾がゆらりと揺れた。

受け付けに足を進めると、巨大なストーンゴーレムがゆっくりお辞儀をする。

“ようこそ。シヴァガン王国鍛錬の森、第9区画へ”

魔物状態では異種族に声を届けられないため、首に看板を下げている。
ゴーレムに渡されたチラシをみんなで見た。

この第9区画の内部は、結界によりさらに細かく区切られているらしい。
知り合い複数人で受け付けし、ひとつの結界内部で集中して鍛錬できる。

「鍛錬の森には、こうしたパーティごとに別れて鍛えられるタイプと、入り口を通った後は他の冒険者とごちゃ混ぜになるタイプがある。
俺たちは、人目を気にせず技が使える個室の方が都合がいいだろ。主さん」

「オズくんナイスセレクト! そこまで考えてここに案内してくれたんだね」

レナがホッとした表情で、オズワルドに感謝した。
「……そう」と言って顔を背けるオズワルドの頬を、リリーがツンツンとつついてからかう。

受付をすませると、小さなアンティーク調の鍵を渡される。通してあった紐をレナが手首に巻きつけて固定すると、手の甲にシヴァガン王国の紋章が現れた。
これにより、退場までの滞在を保証するのだ。
小道を通って該当区画を訪れると、木の立て札がポツンと立っていて、扉の絵が描かれていた。

「ーー我が名は藤堂レナ。入室を願う者なり!」

レナが厨二病な訳ではなく、これはキーの魔法を発動させるための呪文である。嬉しそうに発言していたが。

ぽっかり空いた鍵穴にオープン・キーを差し込むと、立て札に”オープン”と文字が浮かび上がった。
淫魔のお宿♡の「ようこそ」電飾を思い出してしまったレナは、あのピンクに輝く情景に慣れ過ぎている。

『『これで、もう弾かれないのかなっ?』』

「大丈夫。今、結界はいったん消えてるよ。透明だから見えづらいよね」

ルーカの言葉を聞いて、クーイズがていやっ! と真っ先に看板の向こうに乗り込んだ。
一応タックルしてみたが、魔眼が視たとおり結界は消えていたので、くるりと宙返りしながら着地する。決めポーズをぷよよん!

「おや……? 僕の瞳は信用できなかった?」

『『視えてるものはめっちゃ信用してるよん! だけどー、ルーカ時々悪ふざけ言うしぃー?』』

「悪いルーカをお望みってことかな?」

『『やぁーーん! とっても闇が深そう〜!』』

軽口で笑いあって、全員で立て札の反対側に回り込むと、再びキーを差し込む。
”クローズ”と表示されたので、きちんと結界が再構築されているようだ。

『この中で走っててー、べちん! って結界にぶつかったりしないー?』

「結界が張られてる境界には、ところどころ赤色の立て札があるだろ?
そこに見えない壁がある。
赤の立て札に気付けなかったなら、それはその利用者が実力不足だったってことだ。
罠が高度になってる上級者区画になると、立て札すら設置されてない。本能か魔眼で、透明な結界を判別して、壁の位置を判別する事になる」

『それも……訓練、なんだ?』

「せっかくお金を払って訓練場に来てるんだから、あらゆる方法で鍛えてもらおうって発想。結界判別なんて、野外では体験できないからさ。別にぶつかっても死ぬわけじゃないし」

<へぇへぇへぇへぇ!>

「……それなに?」

<雑学について、なるほど〜と思った時にへぇ! という企画です。
またそのうち、映像をお見せ致しましょう!>

「ふーん……分かった、機会があった時にね」

<ああッ、そこは是非『へぇ』と言って頂きたかったッ!>

スマホの絡みをスルーしたオズワルドは、すうっと息を吸うと、魔物の姿に戻る。
空から差し込む光を浴びて、艶やかな毛皮が青みを帯びて輝いていた。
4本の脚で、整備された土の地面をしっかり踏みしめる。

『ステータス、もう一度確認しておいて』

声をかけられたレナが、ギルドカードの”従魔”項目をタップした。

「名前:オズワルド
種族:ブラックドッグ♂、LV.30
装備:M風の子服セット、尾の飾り布、ニクキュウ靴、M|身護(みまも)りペンダント、M服飾保存ブレスレット(金)
適性:黒魔法[時空]、赤魔法[炎]、黄魔法

体力:67
知力:32
素早さ:55
魔力:32
運:28

スキル:[嚙み砕き]、[心眼]、[観察眼]、[咆哮]、[炎爪]、[炎の毛皮]、[リトル・ボム]、[|重力操作(グラヴィティ)]、[持続力]、[冷静]、[シャドウ・ナイフ]
ギフト:[限界突破]☆5、[|巨人の血筋(タイタン・クラン)]☆4
称号:魔人族、魔王の子」

ーーー
【ブラックドッグ】……漆黒の毛並みをもつ、希少種のイヌ科の魔物。小柄な体躯には、これからレアクラスチェンジするための力が蓄えられている。ステータスの成長率が高く、希少種への成長が約束されている。種族スキル[観察眼]を進化時に取得する。

【☆5】[限界突破]……命が危機に瀕(ひん)した時、激昂(げっこう)状態になり、ステータス値が1.5倍に跳ね上がる。激昂状態が解かれた時、一気に身体にダメージが押し寄せてきて動けなくなる。

【☆4】[|巨人の血筋(タイタン・クラン)]……巨人族の血を引く者の証。純血の巨人族の二代目までがこの体質を手にする。
[重心移動の心得][骨太][強靭]の才能が贈られており、最終進化先が巨大な魔物になる。
ーーー

戦闘スキルはこれからお披露目となるので、説明を省こう。

強力なギフト[|巨人の血筋(タイタン・クラン)]は素晴らしい効果を持つわりに【☆4】とレア度が低めだが、これは同種族で同一ギフトを持つ場合、レア度が低めに表されるから。
効果だけを考慮した場合、【☆6】ギフト相当とも考えることができるだろう。

魔人族たちの装備ステータスは、装飾保存ブレスレットを身につけている時、直前に着替えた服装がギルドカードに反映される仕組みである。
風の子服は、とある有名デザイナーが手がけたマジカルファッションシリーズ。
とても軽い生地が使われており、[快速]の効果があるそう。
デザイナーは今は制作を休止しているため、プレミアものだ。
父親は存外過保護らしい。その精神を教育にも反映させて欲しかったものだが。

ニクキュウ靴は実はトレーニング用品。
この靴で足跡を付けないように歩くことで、獣型の時にも足跡を残さない訓練になる。

オズワルドは生まれながらに希少種のステータス値補正があり、そこに両親の武術の才能とブラックドッグの特性、ハードな特訓をこなしていたため、まだ進化していないにもかかわらずかなり能力が高い。

「やっぱりすごいなー……オズくんのステータス」

『むぅ。レベルも高いしー、技能が豊富だねー。じっくり耐久型って感じー?』

『[嚙み砕き]いいね! すごく物理的で』

『[シャドウ・ナイフ]……? どんなのだろう。戦闘中に、見れるかな。ヒト型になった時も、使えそう……だね!』

レナたちが口々に褒める。
ステータスをざっと見ただけでも、オズワルドが規格外な実力を持っていることがよく分かる。

「……厳しい特訓をするつもりはないって言ったけど。
仲間に入れてもらった以上、誰かが危なくなったら助けるつもりでは、いるから」

オズワルドが小声でポツリと呟く。おそらく、そこは自分の力を頼ってくれていい、と言いたいのだろう。
オカンのお察し能力におまかせあれ!
照れている時、この少年は目を合わせようとしない。

「ありがとう! 頼らせてね」

なんと微笑ましいことか、とレナは顔をほころばせてお礼を告げて、先輩従魔たちが苦笑してオズワルドを見た。

顔を上げたオズワルドの視線の先には、攻撃を当てるための的が10個。
レナたちが訪れた初級者コースの広場は、的(まと)や見破りやすい罠が多めに設置されている。

『……始めていい? 隠されている罠は、順番に相手してく』

金眼が、木々の間に隠れているロープの端と落とし穴、トラバサミを視切った。

「うん! オズくんの実力、しかと見届けさせてもらうよ」

<動画撮影はおまかせ下さいませ! ふふふ……ハマルドライブ中の撮影に慣れたこの私を振り切る事など、不可能で御座いますよ!>

『……どうかな?』

オズワルドはちらりと後方を見ると、視線を的に戻して脚に力を込め……武闘披露を開始する!
レナたち全員が漆黒の獣に注目し、スマホが撮影用の分身体を出現させた。

▽オズワルドの 戦闘を ご覧あれ!

金眼がカッ! と見開かれた。
ざわっ、と全身の毛が逆立っている。

『スキル[咆哮]!』

”ガオオオォォォォオオン!!”

力強い獣の声がレナたちの鼓膜を打ちすえて、ビリビリと鼓膜を刺激した。
風もないのに木の葉が揺れる。
虫たちは一目散に逃げていくか、迫力に負けて気絶してしまった。
ーー強大な力を持つ魔物の雄叫びは、小柄なオズワルドを何倍にも大きく、恐ろしく見せている。

強い蹴りで土がえぐれる。
ぐんっ! と、ブラックドッグが弾丸のように前進する!

『スキル[|重力操作(グラヴィティ)]』

跳躍のタイミングでスキルを使用すると、身体がふわっと軽くなり、蹴りの速度を活かしてまるで風のように走り抜けていった。

一度の着地で数メートルほども跳躍し、わずか数ステップで的まで半分ほどの距離に到達する。

ここで、トラバサミが「がうがう!」と獲物めがけて噛みつき攻撃をしかけてくる!

『スキル[炎の毛皮]』

オズワルドの毛がほんのり赤みを帯びたかと思うと、やがてハッとするほど鮮やかな青色に変わった。
身体の毛が、炎そのものに変質しているようだ。
かなりの高温なのだろう、オズワルドの周辺の空気が、メラッとゆらいでいる。
術者であるオズワルドにはダメージがない様子。

トラバサミがオズワルドに噛みつこうと、ぐあっ! と大きく口を開く!
ギザギザの歯が脚に食い込もうとしてーー……ぐにゃりと歯を溶かされてしまった。

この初心者用トラバサミは金属にしては脆く、噛みつきも皮膚を傷つける程度に設定されているが、炎特化のモンスターでもないのに溶かしてしまうとは、[炎の毛皮]の威力は規格外もいいところだ。

レナたちが「きゃー! 危ない!」「溶かした!? 凄いっ!」と騒がしく実況している。
性能のいい耳が声を拾って、ピンとまっすぐに立った。

次にオズワルドが狙うのは、大木に設置された的。
広場の先は森林地帯だ。赤い立て札はまだまだ奥の方、存分に暴れられる。

『[シャドウ・ナイフ]』

スキル、と冒頭に唱えない場合、わずかに技の威力が落ちる。
オズワルドは、全詠唱しなくても的を壊せるだろうと視極めた。

オズワルドの影が立体的に持ち上がって、ぐるりと宙に半円を描く。
鋭い10本の[シャドウ・ナイフ]が出現した。

的を見据えて走りながら、くっと顎を上げると、漆黒のナイフが的に向かっていく!
それぞれのナイフがわずかに方向を変えた。
これらを全てコントロールできているのは、ひとえにオズワルドの集中力の賜物である。

スパァン! スパァン! と、的の中央にナイフが突き刺さっていく! お見事!

森林の中に入り込んだオズワルド。
レナたちも後を追おうか迷っていたが、スマホがディスプレイを宙に展開し、オズワルドの戦闘生中継を始めたので、平原でのほほんと経過を見守ることにした。
この訓練場の中ならば、危険はないだろう。

「わ! 魔法のロープがオズくんを鞭打とうとしてる。
こしゃくなぁ〜〜……炎の爪で燃やしちゃえ! あ。本当に切り裂いた。
オズくん、ナイス!」

『クスクス、ご主人さま、楽しそう。炎爪、使ってる時……爪、真っ青だね?』

『赤い炎より、青い炎の方が高温なんだよーん。そのせいじゃない?
普通、フレイム系統って赤い炎なんだけどねー。むむ、クーも青色炎目指しちゃう?』

『でもでも、赤の女王様に仕える我らなんだし、赤色の方がいいんじゃない?
大丈夫! レナパワーでなんとでもなるって! 赤色炎でも、クーのフレイムだってすごい!』

『ああ! レナ様、従えてぇーー!!』

「私だから、ってとこが普通に根拠にされてる……」

「何を今さら。あ、オズワルドが縄を燃やし尽くして、こっちに帰ってくるね。炎爪には『ヤケド』の状態異常効果があるようだよ。
……! 岩が降ってきた!」

『! [衝撃覇]しようか!?』

「いや……大丈夫。オズワルドは気付いているね」

木々が立ち並ぶ一角からオズワルドが姿を表すと、疲れたところを待ってましたと言わんばかりに、小さめの岩が頭上から落ちてくる!
レナたちがゴクリと生唾を飲み込んだが、オズワルドは落ち着いてスキルを発動させた。

『[リトル・ボム]!』

ブラックドッグの頭上で、小さな爆発が起こる!
岩を細かく粉砕した!

ピンチを切り抜けたのもつかの間、オズワルドの前方にひときわ大きな岩が落ちてくる。

今回の戦闘は、パーティの仲間たちに実力を確認してもらうためのパフォーマンスが目的だ。爆破とは別の手段を考える。
ぐわっ! と大きく口を開いた! 鋭い牙が覗く。

『[|重力操作(グラヴィティ)]……スキル[嚙み砕き]!』

オズワルドの上顎がぐっと重みを増した。
ガヅンッ!! と硬質な破壊音が響いて……! 見るからに硬そうだった岩が、いともた易く噛み砕かれてしまった!

「ブラボーーー!!」

『『これは勝利のダンスを贈らざるをえないー!』』

ディスプレイと肉眼でオズワルドの大健闘を見ていたレナたちから、歓声が上がる。
クーイズが、きゅっきゅっクルクル! とダンスの打ち合わせを始めた。

嬉しそうな声に気を良くしたのか、オズワルドは顔を伏せて1つ瞬きをすると、体勢をいっそう低くして、平野を走り抜ける!
[|重力操作(グラヴィティ)]スキルを先ほどよりもこまめに切り替えて、地に足をつける時には身体を重く、跳んだ瞬間には軽くして、ジグザグに駆けた。

細められた金眼が、落とし穴がある場所のわずかな土色の変化を、めざとく確認している。
オズワルドが跳躍して地面に足をつけるたびに、落とし穴が次々暴かれていくが、落ちてしまう前にまた駆け出しているので、ボコボコと地面が穴だらけになっていく。
なんと、大小あわせて10を超える罠があったようだ。

ついでのオマケとばかりにカカシに[シャドウ・ナイフ]を放って、十分な実力を見せることができたオズワルドは、颯爽(さっそう)と主人たちの元に帰還した。
父親に似た覇気すら纏っている。

ディスプレイが展開されて自分の姿が映っていることに気付いて、まったくこの人たちは、と呆れたように半眼になった。

<ぐぬぬぬ……最後の全力疾走の瞬間の映像、もっといいアングルに仕上げられたはず……少しブレてしまいましたし……。
不完全燃焼で御座いますぅーー! ああん! あっぱれ、オズワルドさん!>

スマホが画面に、地団駄を踏むGIF動画を映している。
オズワルドがふふんっと鼻を鳴らした。

「オズくん! とっても凄かったよ!」

『!』

オズワルドが主人を見上げると、花が咲くような笑顔が視界をおおった。
ご丁寧に、しゃがみこんでオズワルドに目線を近くしたのだ。

油断せず罠をすべて突破したのがすごい、駆けるのが速かった、炎をまとってたのカッコイイね! と手放しであれこれ絶賛される。

『……。こんな感じで、それなりに戦えるから。一応、いざという時のために覚えておいて』

「はい! ご主人レナ、覚えたよ〜!
重力の魔法……色々と使い道がありそうだなぁ。[リトル・ボム]もアレンジしがいがありそう……。
こんなに強いオズくんがいざという時、助けてくれると思うと心強いね。
ありがとう! 今日は戦闘、お疲れさまでした!」

『……うん』

「喉乾いたでしょう。ララニーちゃんが作ってくれたアイスティー、飲む?」

『ありがと』

オズワルドはまたヒト型に変身した。

無表情を装おうとしているが、尻尾がごきげんに揺れている。自分でも納得のいくパフォーマンスができたらしい。
撫でてあげたくなったが、まだオズワルドがそこまでの触れ合いを望んでいないようなので、レナは残念そうに自重した。

水筒に入れられていたアイスティーが、ひんやりと甘く、オズワルドの喉をうるおす。

『『見てみて〜〜、勝利のダンス! オズの戦闘凄かったから、先輩からのお祝いだぁっ!』』

クレハとイズミがぷよよん! ぽよよん! クルリクルリ! とダンスを始めた。

ちょー激しい。動きがかなり速い。
可愛らしく表現してみたものの、正確に擬音で表現するならば、ぷよぽよギュルギュルギュルぽぽぽぽーーん! べったんぐにょんギュイィン! ぐらいの大迫力である。

「ダ、ダンス?」とオズワルドも困惑しつつ、一応お礼は言っておいた。

 

 

 

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